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イオン、「連邦経営」が崩壊…ドラッグストアの「食品スーパー化」の脅威

文=編集部
イオン、「連邦経営」が崩壊…ドラッグストアの「食品スーパー化」の脅威の画像1マルエツの店舗(「Wikipedia」より)

 イオン系首都圏スーパー、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)の収益が改善してきた。2015年3月にマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東のイオン系3社が統合してUSMHが誕生したが、ようやく統合の成果が見えてきた。

 19年2月期第1四半期(18年3~5月)連結決算の売上高は前期比0.5%増の1721億円、営業利益は同12.5%増の30億円、純利益は同11.5%増の19億円だった。

 傘下の食品スーパーは、マルエツの売上高が同0.6%減の925億円だったが、営業利益は同8.4%増の15億円に改善。カスミの売上高は1.6%増の676億円、営業利益は24.0%増の14億円と増収増益。マックスバリュ関東の売上高は1.3%増の108億円と増収だが営業利益は2100万円にとどまった。

 マックスバリュ関東が依然として低迷から抜け出せないでいるものの、マルエツとカスミの収益が持ち直した結果、USMHの売上高営業利益率は1.78%と前年同期より0.19ポイント改善した。同業のヤオコーの5.0%やバローホールディングスの2.9%に及ばないが、改善度合は大手5社の中でトップだ。

 19年2月期通期の売上高は前期比4.0%増の7200億円、営業利益は同4.5%増の147億円の見通し。営業利益はヤオコーの173億円(19年3月期見込み)に迫る。営業利益率は2.0%に上昇する見込みだ。

 とはいっても、食品スーパーの経営環境は厳しさを増している。3~5月期のマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社合計の既存店売上高と客数はともに前年同期比で1.8%減だった。客を店に呼び戻して、既存店を活性化させることが大きな課題だ。

イオンの首都圏攻略の先兵USMH

 イオンの首都圏攻略は長年の課題だった。03年、カスミへ資本参加して以降、曲折を経て、マルエツ、カスミ、非上場のマックスバリュ関東の3社統合にこぎつけた。

 少額を出資して各社の独立性を認めるのがイオン流の拡大戦略だった。連邦経営、別名“幕藩体制”という。成長期はそれでもよかったが、少子高齢化に伴い国内市場が縮むと、幕藩体制では投資効率が高まらない。グループを再編することがイオンの最優先事項となった。

 USMHは、いわばイオン流の“廃藩置県”だ。マルエツやカスミは緩やかな連邦経営を志向しており、完全子会社になることには抵抗があった。

 首都圏を地盤とする3社だが、詳しく見るとマルエツは都内や埼玉県、マックスバリュ関東は千葉県に強い。カスミは茨城県で首位だ。今回、イオンは資本の論理で統合を進めてきた。

 それでも、中長期的なビジョンは描き切れていなかった。「20年度に売上高1兆円、1000店規模」という、大雑把なことだけだった。

 イオンは自社の既存PB「トップバリュ」をUSMHにも導入したいと考えた。しかしUSMHは首都圏向けのまったく新しい独自のPBにこだわった。そこで、PB商品はトップバリュだけでなく、3社が共同開発した「イータイム」が併存することになった。

BusinessJournal編集部

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