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仮想通貨、信用崩壊で「暗号資産」に呼称変更…金融庁“お墨付き”テックビューロも流出事故

文=編集部
仮想通貨、信用崩壊で「暗号資産」に呼称変更…金融庁“お墨付き”テックビューロも流出事故の画像1「Getty Images」より

 金融庁は9月25日、約70億円相当の仮想通貨を流出させた仮想通貨交換業者、テックビューロに対し、資金決済法に基づく業務改善命令を出した。同社への業務改善命令は3月と6月に続いて3度目となった。

 金融庁は、システム上のリスクを防ぐための管理体制の整備やマネーロンダリング(資金洗浄)対策の強化などを求めてきたにもかかわらず、巨額の仮想通貨の流出が起きた事態を重視し、3度目の業務改善命令を出した。

 テックビューロは1月に約580億円相当の仮想通貨を流出させたコインチェックのような「みなし業者」ではなく、金融庁のお墨付きを得た「登録業者」である。そのため、批判の矛先が監督官庁である金融庁に向かう可能性がある。それが3度目の業務改善命令につながった、という辛口の指摘がある。

 テックビューロが運営する仮想通貨交換サイト「Zaif(ザイフ)」に9月14日、外部から不正アクセスがあり、ビットコインなど3種類の仮想通貨が流出した。流出を確認し、金融庁などに届け出たのは18日になってからで、事実を公表したのは20日だった。会見は一切、行っていない。金融庁によれば、テックビューロの預かり資産は472億円という。

 金融庁は「なぜ17日まで流出が確認できなかったのか、金融庁への報告も遅い」と業務改善命令を出すに至る経緯の一端を明らかにした。

 不正流出を受けてテックビューロは10月10日、金融関連情報サービスのフィスコのグループ会社に事業を譲渡すると発表した。テックビューロは会社解散の手続きに入り、顧客や不正流出をめぐる補償などはフィスコが引き継ぐ。顧客から預かり資産の返還要求などがあれば、フィスコが応じる方針だ。

 テックビューロは株主総会の承認後、11月22日付でZaif事業を譲渡した。事業はフィスコ仮想通貨取引所が引き継いだ。テックビューロは金融庁に登録した交換業者だが、譲渡手続きの終了後に登録の廃止を申請し、金融庁は登録を抹消する。抹消は16ある登録業者で初めてだ。

 流出した仮想通貨はビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコインの3種類。ビットコイン、ビットコインキャッシュについては、フィスコがすでに流出相当分の現物を調達しており、被害に遭った顧客に渡す。モナコインは流動性が低く現物の調達が難しいため、流出分について「1モナコインあたり約145円」で補償する。

 テックビューロは当初、フィスコが顧客への補償用に50億円を支援するほか、テックビューロの株式の過半数を取得することなどを軸に検討。9月中にまとめるとしてきたが延期していた。迅速な顧客保護実行の要請があったため事業譲渡に切り替えた、とテックビューロは説明している。

 テックビューロの朝山貴生・最高経営責任者(CEO)は9月25日、仮想通貨の業界団体である「ブロックチェーン推進協会」の副代表を辞任したが、仮想通貨の流出が発覚してから一度も記者会見を開かず、ホームページ上での一方的な情報発信だけ。情報開示の姿勢が後ろ向きなことから、仮想通貨全体に対する不信を増幅させた面もある。

 仮想通貨は資金決済法で規制されている。当初は決済手段としての役割が想定されていたが、今春のG20の議論で、仮想通貨の呼び方が「暗号資産」に変わった。金融庁も最近の文書では、「暗号資産」を主に使っている。

 テックビューロによる仮想通貨の流出、それに続く会社解散は、まさに暗号資産バブルの象徴のように映る。仮想通貨の取引の低迷に加え、金融庁の監督強化を背景に、業界の再編・淘汰が加速することになるとみられている。

BusinessJournal編集部

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