日本人だけが知らない、来年ラグビーW杯日本大会の衝撃…スポーツ界の歴史的転換点に
ラグビーワールドカップ2019(以下、W杯)日本大会は、来年の9月20日に開幕する。東京五輪・パラリンピック前年にあたることから、開催が決定した当初は2年連続で国際的なスポーツ大会を行う負担について懸念する向きもあった。開催まで1年を切った現在は、どうか。準備状況や課題を、ラグビーW杯2019組織委員会事務総長の嶋津昭氏に聞いた。
日本チームは期待できるか
片山 ラグビー日本代表は、過去8回のW杯にはすべて出場していますが、前回大会まで勝った試合は1991年のジンバブエ戦1試合だけでした。ところが、2015年大会ではエディ・ジョーンズヘッドコーチのもと、W杯で2度の優勝を誇る南アフリカ代表を破って世界から大注目を集めました。3勝したものの、惜しくも決勝トーナメントには進めませんでしたが、上位12チームに入ったことで日本大会は予選なしで出場権を獲得しています。まず率直に、日本大会では日本代表にどこまで期待できますか。
嶋津 15年大会の活躍が鮮烈ですから、その点は常に話題になります。まず、組織委員会は大会全体の準備・運営をする団体で、日本代表チームは日本ラグビーフットボール協会の所管ですが、現在のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、ノックアウトステージを目指す、つまりベスト8以上を目指しています。
片山 期待していいわけだ。
嶋津 組織委員会としても期待していますよ。日本チームが勝つこと自体、日本大会を盛り上げる原動力になりますからね。
片山 その日本大会ですが、前回大会のイングランド大会は、過去最高の観客動員数を記録して、「レコードブレイキング(記録破り)」な大会といわれました。日本大会の位置づけを教えてください。
嶋津 われわれが目指すのは、「レコードブレイキング」に対して、「グランドブレイキング(画期的)」な大会ですね。ラグビーでは、ニュージーランド、アイルランド、ウェールズ、イングランド、南アフリカといった、世界ランキング上位常連国を「ラグビー伝統国」(ティア1ともいう)と呼びますが、日本大会はラグビー伝統国以外で初めて開催される大会です。同時に、アジアで初めて開催される大会でもある。
発祥の地のイングランドで開催されたW杯と、100年以上の歴史があるとはいえラグビー非伝統国の日本で開催されるW杯は、ある意味まったく異なる大会になると思っています。