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成功する「選択と集中」――何をやめ、何を強めるべきか(3)

新宿御苑前駅を広告でラッピング?小さな会社こそプロモーションに力を入れるべき理由

文=編集部
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新宿御苑前駅を広告でラッピング?小さな会社こそプロモーションに力を入れるべき理由の画像1『余計なことはやめなさい!』(集英社/氏家健治)

 どのようにビジネスの戦略を立てて収益を伸ばしていくかというのは、経営者にとって悩みの種だろう。特に中小企業は、なんとか収益をあげるために手広く展開しようとして、逆に疲弊してしまいがちだ。

 ケンズカフェ東京のオーナーシェフである氏家健治氏が執筆した『余計なことはやめなさい!』(集英社)は、経営者にとって「何をやめるべきか」「どこにフォーカスすべきか」という「選択と集中」の教科書的な一冊である。がんばっているのに成果が出ない、いろいろなことを手広くやりすぎて失敗する。そこから抜け出すには、「どこにお金をかけるか」の選択が大切になる。

 今年創業20年を迎え、最高級のガトーショコラのみで年商3億円の売り上げを見込むケンズカフェ東京の経営の「軌跡」は、まさに「選択と集中」のお手本だ。氏家氏の手法を4回の連載で紹介していく。

 第3回の今回は、「何を強めるべきか」がテーマだ。

新規顧客獲得こそがビジネス活性化のカギである

 第2回でも取り上げたように、氏家氏は広げた事業を次々とやめてきた。そのなかでは、飲食業界における「常識」ともいえることですらもやめる対象となった。

・ディナー営業をやめた
・ランチと喫茶の営業をやめた
・宴会メニューの営業をやめた
・ネット通販をやめた
・シェフもやめた

 これらをやめたことで本来やるべきビジネスに集中することができ、資金もそこに注力できるようになった。今回は、そのお金をどのように使ったのかというのがテーマになる。

 氏家氏は、マーケティングの4Pのうちプロダクト、プライス、プレイスで「やめる」決断をしてきた。そうして生まれた資金をつぎ込んだのは、残る「プロモーション(宣伝活動)」である。

「小さな会社では、広告費を捻出することも難しい」と思う経営者も多いだろう。しかし、「小さな会社であればあるほど宣伝活動に力を入れるべし」というのが氏家氏の持論だ。

 商品の生産を自分たちで行っていると、「良いモノを生み出せば、自ずと人気も高まる」と考えがち。しかし、今や商品に高品質を追求するのは当たり前となっており、それがヒットの「前提条件」となっている。つまり、高品質がスタート地点になっており、それだけでは売れないという状況ができているのだ。

 では、ヒットのために高品質にプラスして必要になるものは何か。それが宣伝活動だ。

 氏家氏は、宣伝のために早くからインターネットを活用してきた。2001年頃には、スタートしたばかりの「ぐるなび」に広告を出稿。画像やテキストにもこだわり、宴会の予約増につながったという。

 インターネットマーケティングは個人経営や中小企業の味方だ、と氏家氏は述べる。

 自社のホームページは、顧客になり得る人と商品の出会いの場所になるかもしれない。だからこそ、専門業者に設計を依頼し、魅力的なものにする。検索で上位にくるためのSEO対策を行い、自社の商品を求めている人を引きつける。

 また、画像は美味しそうに見えるものを使おう。一瞬で「食べてみたい!」と思うような意欲をかき立てるために必要不可欠だ。「シズル感あふれる写真は見る人の心をとらえて離さない」と氏家氏は語る。

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ではインフルエンサーの動きに注目しよう。他人の購買行動に与える彼らの影響力は、もはや見過ごすことができないものになっている。

BusinessJournal編集部

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