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渡辺陽一郎「いちばん詳しい『人気の新車』完全ガイドシリーズ」

日産「ノート」異例の長期人気の“意外な”理由…ポイント総チェック&総合評価!

文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト
日産「ノート」異例の長期人気の“意外な”理由…ポイント総チェック&総合評価!の画像1日産の「ノート e-POWER X」(「日産:ノート [ NOTE ] 電気自動車 (e-POWER) Webカタログ トップ」より)

どんなクルマなのか?

 今の日産自動車は苦境に立たされています。完成検査に不正があった事実が次々と発覚するなかで、カルロス・ゴーン前会長が有価証券報告書に報酬を過少に記載していたとして起訴されました。側近だったグレッグ・ケリー前代表取締役、さらに法人としての日産まで、同様に起訴されてしまいました。

 この厳しい状況のなかで、国内の日産車販売を支える重要な車種が小型車のノートです。現行ノートは2012年に発売され、2016年にはハイブリッドのe-POWERを加えました。

人気を得ている理由

 ノートの売れ行きは、小型/普通車市場に限定すると(軽自動車を除く)、2018年10/11月は3位です。1位のトヨタ自動車「アクア」、2位のトヨタ「シエンタ」を下回ります。

 しかし、2018年度上半期(4~9月)はノートが1位でアクアは2位でした。現行ノートは2012年の発売なので6年を経過していますが、人気は相当に根強いです。

 ノートの人気が高い理由は、大きく分けて3つあります。まず、商品力が基本的に高いことです。コンパクトなボディは視界が良くて運転しやすく、そのわりに後席の足元空間も広いです。日常的な買い物から4名乗車の長距離移動まで、幅広い用途に使えます。

 2つ目は2016年にe-POWERを加えたことです。低燃費で動力性能が高く、アクセルペダルだけで速度を自由に調節できる独特の運転感覚も味わえます。

 3つ目は、今では購入したいと思わせる日産車が大幅に減ったことです。以前人気の高かった「ティーダ」は、すでに販売を終えました。「キューブ」は今でも購入できますが、設計が古く緊急自動ブレーキも装着されません。コンパクトなSUVの「ジューク」も発売から8年以上を経過しました。このほか「ウイングロード」「デュアリス」なども販売を終了しており、乗り替えるクルマがなくて困っている日産車ユーザーも多いです。

 こういった人たちから、ノートe-POWERが注目されました。普通のノートでは物足りなくても、e-POWERなら環境性能が優れ、付加価値も高いので購入対象に入ります。つまり、ノートは日産車を乗り継ぐユーザーから消去法で選ばれている面もあるのです。

気になる8つのポイントチェック&星取り採点

(1)居住空間の広さとシートの座り心地

★★★★☆

 全長は4100mmと短めで、全高も立体駐車場を使える高さに抑えましたが、後席も広く4名乗車が快適です。

(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ

★★★☆☆

 5ドアハッチバックなので荷室は実用的です。ただし、後席の背もたれを前に倒すと広げた荷室の床に段差ができます。

(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ

★★★★☆

 サイドウインドーの下端が低めで視界が良く、最小回転半径も5.2mに収まるため、運転がしやすいです。

(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性

★★★★☆

 e-POWERであれば動力性能に余裕があり、加速感もなめらかです。カーブを曲がるときの安定性は平均的です。

(5)乗り心地と内装の質感などの快適性

★★★☆☆

 e-POWERの乗り心地は、ノーマルエンジンのノートよりは快適です。内装の質感は小型車の平均水準です。

(6)燃費性能とエコカー減税

★★★★★

 e-POWERであればJC08モード燃費は34km/Lと優秀で、2018年度のエコカー減税は適用になります。

(7)安全装備の充実度

★★★★☆

 大半のグレードに、歩行者を検知できる緊急自動ブレーキと車間距離を制御するクルーズコントロールが備わります。

(8)価格の割安感

★★★★☆

 ノーマルエンジン、e-POWER共に機能や装備に対して価格が割安です。e-POWERでも200万円少々です。

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

1961年生まれ。神奈川大学卒業。1985年に自動車雑誌を中心に扱うアポロ出版株式会社に入社。その後、同社で複数の自動車雑誌やアウトドア雑誌を手掛け、1989年に自動車購入ガイド誌「月刊くるま選び」の編集長に。1997年にはアポロ出版株式会社の取締役も兼任。2001年6月に40歳を迎え、同月に「カーライフジャーナリスト」の肩書でフリーランスに転向。

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