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金融緩和政策の終焉
日銀の金融緩和策の中心施策は、国債の買い入れにある。現状では、年間に新規で80兆円の国債を購入することになっている。買い入れの中心は10年物国債で、日銀ではその残存期間(償還までの期間)を7年程度として買い入れを行っている。国債はどれだけ大量・巨額な買い入れを行っても、7年間買い入れをストップして保有し続ければ、その国債は償還を迎え残高はゼロになる。だが、ETFには償還がない。日銀が買い入れてしまったETFは金融緩和政策の終焉とともに “売る”しかないのだ。
では、日銀は保有するETFをどのような方法で処理できるのか。今、水面下で言われているのが、「ETFを日銀の勘定から切り離す方法」だ。簡単に言えば、バブル経済崩壊後の不良債権処理で銀行や証券会社が行った“飛ばし”である。保有するETFを別の機関や勘定に移し、そこが長い年月をかけ、株式市場に影響が出ないように、ジワジワとETFを売却するというシナリオである。
2002年、「銀行等保有株式取得機構」が設立された。同機構は、銀行による政策保有株(いわゆる持ち合い株式)の市場売却の影響を避けるために設立されたもので、政府保証の付いた借り入れや債券発行で調達した資金により、銀行から株式を買い入れ、長期間をかけて株式の市場への売却を行った。日銀の保有するETFの処理に、これと同様の機能を持った機関をつくり、そこに日銀保有のETFを売却するという考え方だ。
ただし、この方法が実現可能か否かは、わからない。日銀法を含めて、既存の関連法の改正や新法の制定が必要になると思われる。それでも、“爆弾の処理方法”は検討しておく必要がある。金融緩和政策の終焉は、必ずやってくるのだから。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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