サプライズ人事はあるのか
商社枠も注目だ。商社枠は2人。現在は飯島彰己・三井物産会長と小林健・三菱商事会長が占めている。飯島氏が任期満了で退くため、1枠が空く。審議員会副議長の岡藤正広・伊藤忠商事会長と中村邦晴・住友商事会長が激しく争っている。
「商事・物産・住商の旧財閥系商社への対抗心を燃やす伊藤忠は副会長の椅子を欲しいが、肝心の岡藤氏が以前に『もうからん仕事はやらん』と広言したのがネック。ただ、中村氏の猟官運動が目立ちすぎなので、流れとしては岡藤氏か」(経団連の副会長)
「中西会長と岡藤氏の関係は悪くない」(別の経団連副会長)
岡本圀衛・日本生命保険相談役の後任は渡邉光一郎・第一生命ホールディングス会長、宮永俊一・三菱重工業社長の次は斎藤保・IHI会長、十倉雅和・住友化学社長の後は小堀秀毅・旭化成社長が、それぞれ有力視されている。工藤泰三・日本郵船会長の後任は、運輸業界からは見当たらない。
副会長就任に意欲満々と取り沙汰されている審議員会副議長が2人いる。井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長と新浪剛史・サントリーホールディングス社長だ。
新浪氏は経済同友会の代表幹事の候補になったこともあって「手垢がついている。安倍晋三首相に近すぎるのが難点」(前出の元副会長)との見方がある。出番があるのか微妙だ。井阪氏が副会長になれば、セブン&アイ会長に退き、社長の椅子は創業家の伊藤順朗取締役に“大政奉還”される方向とみられている。
業界枠がぎっちり固まっており、“中西カラー”を打ち出しにくい。かといって、業界内の順送り人事では、「旧態依然」という誹りは免れない。
前経団連会長の榊原定征(現東レ相談役)は18年春の副会長人事で、冨田哲郎・東日本旅客鉄道会長(JR東日本)、片野坂真哉・ANAホールディングス社長を起用。経団連の原点である製造業の枠にこだわらず、観光・インバウンド(訪日外国人)を意識した登用で新味を出した。
中西経団連は、どんな副会長の起用で、独自色を出すのか。経団連に見向きもしないIT関連やエレクトロニクス業界といった勢いのある経営者を取り込むことができれば、新しい風が吹くだろう。ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が入閣すれば、それこそ“ビッグサプライズ”となる。
(文=編集部)