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すぎもと たかよし「サラリーマン自動車ライターのクルマ業界ナナメ斬り!」

トヨタ「プリウス」に三菱「デリカD:5」…残念な“顔”のクルマ増加の深刻な理由

文=すぎもと たかよし/サラリーマン自動車ライター

トヨタ「プリウス」に三菱「デリカD:5」…残念な“顔”のクルマ増加の深刻な理由の画像4ダイハツ・ブーン

 もちろん、デザインには「意図」や「狙い」が必須だ。けれども、それは滔々(とうとう)と説明できるから優れている、ということじゃない。

 たとえば、ダイハツ・ブーンのデザインテーマ(モチーフ)は「六角形」で、実際に内外装の随所に六角形が施されている。担当デザイナー氏もそれを嬉々として語り、その説明に破綻はない。ところが、ブーンのスタイルと来たら……という具合。

 けれども、だ。多くの自動車メディアでは「今度の三菱アウトランダーはダイナミック・シールドが採用されているので、実にスタイリッシュ」なんてことが平気で書かれている始末。まさに、言語のひとり歩き状態。

 欧米ではデザイナーの転職はごく一般的で、各社間で才能の交流が進んでいる一方、基本終身雇用の国産メーカーはデザイン責任者も社内人事の都合で決まる。しかも、デザイン業務のインハウス化が進んで、外注もすっかり減った。そこで昇任した責任者がおかしな提案を――と僕は考えている。

 1980~90年代の日本車が、メーカーの色を出しつつも個性に富んでいたといわれるのは、グッドデザインに対してニュートラルな姿勢があったからじゃないか? つまり、優秀なデザイナーが、より自由に力を発揮できていたと思えるのである。
(文=すぎもと たかよし/サラリーマン自動車ライター)

すぎもとたかよし/サラリーマン自動車ライター

すぎもとたかよし/サラリーマン自動車ライター

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、クルマも最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。

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