東京オートサロンのほうが“本家”東京モーターショーより活況に沸いてしまっている問題
「東京オートサロン2019」が、1月11日(金)から13日(日)に開催された。本イベントは1983年に「東京エキサイティングカーショー」としてスタート、87年から「東京オートサロン」(以下、TAS)として毎年開催されているもの。今年の来場者数は約33万人。これで5年連続30万人オーバーの好調ぶりだ。
一日あたり10万人というこの数字、なんと自動車イベントとしては本家ともいえる「東京モーターショー」(以下、TMS)を超えるもの。しかも、本家が幕張メッセから東京ビッグサイトへと会場を「格下げ」するなか、TASは87年以降幕張メッセでの開催を続けているからスゴイ。
TASの強さは諸々考えられるが、主後援のNAPAC(一般社団法人日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会)などによる出展社の活力みなぎる出品内容によるところが大きい。ド派手なカスタマイズカーやパーツ類、盛り上げ役の超セクシーなコンパニオンたちによる演出は、いまだ「ここだけバブル?」という様相なのである。
そんな下品な……などと言ってはイケナイ。そもそも、この国の文化の土台が「ヤンキーとカワイイ」で成り立っていることを考えれば、これほど日本的なイベントはないだろう。しかも、この動員を見過ごせないメーカーが数年前から本格出展、さらなる相乗効果を生んでいる。
一方、来場者や出展メーカー数の減少に歯止めがかからないTMSも、主催の一般社団法人日本自動車工業会(以下、自工会)がさまざまな対応策を打ち出しているけれど、どうも効果はいまひとつのよう。
たとえば、クルマ好きタレントやレーサーのトークショー、お友達ジャーナリストによる解説ツアーなどは、メーカーやメディアの「内輪感覚」レベルの発想で、焼け石に水状態。「最先端技術の展示こそ東京(日本)のショーらしい」という提案もあるけれど、これまた現状は不発だ。理由は明快。自工会が打ち出す「自動運転」「AI」といった最新技術はいまや世界の潮流で、特段日本だけが先行している分野ではないのである。
TMSの生き残る道はどこにある?
では、TMSはどうしたらいい? 当然だけど、本来は展示の魅力でアピールするのが筋。けれども、「優れた市販車と期待できる展示車」が相乗効果を生むことを忘れ、「退屈な市販車と現実味のない展示車」に終始する現状に展望は見えない。