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小林敦志「自動車大激変!」

ホンダ、際立つ“N-BOX依存”戦略…日本一売れるクルマの“光と影”

文=小林敦志/フリー編集記者
ホンダ、際立つ“N-BOX依存”戦略…日本一売れるクルマの“光と影”の画像1ホンダの「N-BOX」(「N-BOX|Honda」より)

 軽自動車は売れているカテゴリーだけに何かと話題も多いが、日本一売れ続けている乗用車である本田技研工業(ホンダ)「N-BOX」が2018暦年締め年間販売台数でも24万1870台を販売(全軽自協/全国軽自動車協会連合会の統計より)して“日本一”の座についた。

 注目すべきは、軽自動車で販売2位のスズキ「スペーシア」との約10万台という差である。軽自動車は排気量やボディ寸法などの規格が厳しく、性能面や全体の見た目などはライバル車同士ではほぼ横並びとなる。つまり、N-BOXのライバルとなる、スペーシア、ダイハツ工業「タント」、日産自動車「デイズ ルークス」は、見た目の細かい違い以外はほぼ“同じクルマ”と見られてもおかしくないほど似通っている。

 そして、そのなかでも“N-BOXキラー”といってもいいほどキャラを近づけてきたスペーシアと、年間で約10万台、月販台数にして約8300台も差がつくものなのか? という素朴な疑問は、新車販売事情に詳しい人の間で話題となっている。

 N-BOXは17暦年では2位のタントに約7.7万台、16暦年でも2位のタントに約8万台の差をつけているので、“それが実力”といわれればそれまでだが、ちなみに登録車で18暦年締め販売台数ナンバー1の日産「ノート」と2位のトヨタ自動車「アクア」の差は約1万台(自販連/日本自動車販売協会連合会の統計より)となっている。

 軽自動車の通称名(車名)別販売台数18暦年締め2位のスペーシアと3位のデイズシリーズ(ルークスも含む)の差は約1万台、3位デイズシリーズと4位タントの差は約5000台、4位タントと5位ダイハツ「ムーヴ」シリーズ(キャンバス含む)の差は、わずか662台となっている。

 完成度や人気が高く、ホンダの強固な販売ネットワークで販売していることを差し引いても、2位スペーシアとの10万台差を単に“N-BOXの実力”と片付けてしまうのは、やはり違和感を覚えてしまう。

 特に軽自動車の世界では、販売台数の積み増しのためにディーラー名義などでの自社登録(軽自動車は届け出)を行うことが、人気モデルや販売台数を競っているモデルでは恒常的になっている。もちろん、一般消費者への販売台数がある程度以上なければ、というよりは人気車と呼ぶにふさわしい実績がなければ、自社登録で販売台数の上積みをしたところで販売ランキング争いに参加はできない。

新車販売での“N-BOX依存”が際立つホンダ

 考えられるのは、軽自動車ブランド別販売トップ争い、つまり“SD戦争”を強く意識するスズキとダイハツはN-BOXの車名別販売台数1位死守の動きにはあえて付き合わず、ブランド別でのトップ争いのために自社登録もいろいろなモデルに振り分けて行っていたということだ。ホンダはもともと軽自動車のラインナップ数が少なく、軽自動車総販売台数でスズキやダイハツになかなか太刀打ちできないので、あえて通称名別トップに固執、つまりN-BOXの販売を強化しているのではないかとも考えられる。

小林敦志/フリー編集記者

小林敦志/フリー編集記者

1967年北海道生まれ。新車ディーラーのセールスマンを社会人スタートとし、その後新車購入情報誌編集長などを経て2011年よりフリーとなる。

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