人事の季節が巡ってきた。3月期決算企業は、新年度を迎える4月1日付で社長を交代するのが慣例となっている。
三菱重工業
三菱重工業は宮永俊一社長が会長になり、泉澤清次取締役常務執行役員が社長に昇格する。宮永社長の在任期間は2018年4月から、三菱重工では異例の6年目に入っていた。
最大の懸案であった国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」を開発する三菱航空機(水谷久和社長)の大規模増資が18年12月に完了した。三菱重工は500億円の債権を放棄し、1700億円の増資のすべてを引き受けた。三菱航空機は18年3月期末で1100億円の債務超過に陥っていたが、債務超過を解消した。
三菱航空機の出資比率は三菱重工が64.0%、三菱商事やトヨタ自動車などが計36.0%だった。増資には三菱重工のみが参加し、増資後の出資比率は三菱重工が86.7%と大幅に増え、他社は13.3%まで低下した。
三菱航空機は、20年半ばまでに「MRJ90」の納入を開始する。開発を急ぐため、親会社の三菱重工では、6年ぶりに技術系の出身者を社長に据える。
新日鐵住金
新日鐵住金は進藤孝生社長が代表権のある会長になり、橋本英二副社長が社長に昇格する。
4月1日付で社名を日本製鉄に変更する。日本製鉄は戦前に発足した国策製鉄会社と同じ。旧新日本製鐵の源流となった企業だ。現在の新日鐵住金は12年10月、新日鐵と住友金属工業が合併して発足した。6年半で社名から「住金」が消える。
日本製鉄の社名復活と合わせたトップ人事は、新日鐵出身者同士のバトンタッチだ。
JFEホールディングス
JFEホールディングス(HD)は経営体制を刷新する。傘下の製鉄事業会社、JFEスチールの柿木厚司社長が4月1日付でHD社長に就く。林田英治社長は取締役に退き、6月の株主総会後に退任し特別顧問となる。柿木氏の後任のJFEスチール社長には、同社の技術畑出身の北野嘉久副社長が昇格する。