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レジ袋有料化、製造会社が清算…責任問われる小泉前環境相「決めたのは前の大臣」発言

文=編集部
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小泉進次郎氏の公式サイトより

 2020年7月1日に全国でプラスチック製レジ袋の有料化が開始されてから1年以上が経過したが、包装製品メーカー大手のスーパーバッグは今月11日、希望退職者を募集すると発表した。

 同社はレジ袋有料化前の20年3月期決算で売上高318億9500万円、当期純利益3億5100万円を確保していたが、有料化が行われた21年3月期は売上高262億5300万円(前期比17.7%減)、当期純利益は3億8300万円の赤字に転落。同年11月には、ポリ袋製造子会社の中土製袋所を解散・清算すると発表していた。

 今回のスーパーバッグの希望退職者募集の対象は50代の正社員および60~64歳以下の定年再雇用社員で、募集人数は40人ほど。会社都合扱いの退職金と特別加算金を支給するとしている。

 レジ袋有料化の対象となったのは、スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店のレジで配布される、バイオマス素材の配合率が25%に満たないプラスチック製の袋など。NHKの調べによれば、制度開始後1年で「大手コンビニ各社によりますと、レジ袋を辞退する人の割合は70%以上」(21年6月30日付「NHK NEWS WEB」記事より)に達したという。

 スーパーバッグ管理本部は有料化が業績に与えた影響について、次のように語る。

「レジ袋有料化だけではなく、新型コロナウイルス感染症の拡大により人々の買い物の機会が減るといった要因も重なり、想定以上に売上が減りました。有料化は以前から決まっていたことで、また日本だけではなくグローバルな環境意識の高まりという変化もあり、国の政策によって弊社の業績が悪化したとは、とらえておりません。弊社としては今後、環境変化やお取引先さまのニーズに対応して事業を展開していきたいと考えております」

「レジ袋有料化を決めたのは僕ではない」

 レジ袋有料化開始当時の環境相で、その旗振り役だったのが小泉進次郎氏(自民党衆議院議員)だ。

 小泉氏は19年10月、国会で「汚染は人類の責任としてなくさなければならない。レジ袋の有料化をはじめ、消費者、産業界、自治体、国のオールジャパンの取り組みにつながるよう全力を尽くす」と答弁。さらに20年6月には環境省のキャンペーン「みんなで減らそう レジ袋チャレンジ」について「地球規模の課題を解決する小さなことが、レジ袋チャレンジだ」と力説していた。

 しかし、制度開始後に日常生活での煩わしさに加え、プラスチック汚染削減への効果を疑問視する指摘も相次ぎ、世論から反対の声が高まったのを受け、小泉氏からは“責任逃れ”とも受け取れる発言も。

 たとえば21年9月4日に出演したABEMAの番組『カンニング竹山の土曜The NIGHT~小泉環境相と考える福島除去土壌~』内で次のように発言。

「これも結構、批判されてますよね。レジ袋有料化を決めたのは僕ではないってことは。完全にレジ袋有料化したってなってますよね。フェイクニュースってこう根付くんだと。私が大臣になる前に経産大臣、環境大臣で決めたことなら、そのなかでいかに前向きに進めるか」

 さらに今年1月9日付の日刊スポーツ記事でも

「有料化したのが僕だと思っている方が多いですけど、決めたのは僕の前の大臣なんです。私は具体化をしたんですね」

と語っている。そのため、スーパーバッグの希望退職者募集が公けになると、小泉進次郎氏への批判も広がりつつある。

「自覚と責任感が無さすぎる」

 小泉氏の主張するとおり、確かに政府がレジ袋の無料配布を禁止する法整備に着手したのは前任の原田義昭環境相のときだったが、全国紙記者はいう。

「関連法案が成立した当時の環境相は小泉氏であり、施行にあたっては大々的にテレビCMまで打つなど、小泉氏が推進役だったことは明らか。“すでに決まっていたから止められなかった”と言いたいのだろうが、たとえば16年、当時の安倍晋三首相と麻生太郎財務相は翌年に予定されていた消費増税を決断。“国際公約なので延期は無理”という声も強かったが、法案を改正してまで断行した。

 それを考えても、レジ袋有料化レベルの事案であれば、大臣だった小泉氏が決断して動けば、ひっくり返すことは十分できた。その意味では、関連する業界の企業に業績悪化などの悪影響が出れば、担当大臣として、政治家としての責任は逃れられない。

 そもそもレジ袋を有料化してもプラスチック削減の効果はないという指摘も多く、有料化開始後も小売店で客に渡すポリ袋は減った一方で、市販の家庭用ポリ袋の購入量は増加しているという調査もあり、トータルでの効果は不明のまま。

 それを予測してか、環境省も『レジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています』としており、プラスチック削減が目的だという明言は避けている。結局、いったいなんのための制度なのかが曖昧なまま、消費者も企業もただ面倒を被っているだけのようにも映る」

 スーパーバッグの苦境を受け、SNS上では次のように小泉氏の責任を問う声も多数寄せられている。

<国民を苦しめている自覚と責任感が無さすぎる>(原文ママ、以下同)

<決めたことでたくさんの人を不幸にする可能性くらいは想像できなきゃ人としてどうかって話>

<反対の声が多数ありながらも無視し続け、そのことには何も答えず執行してしまう>

<納得出来ないなら自分の代で変える努力をしたらいいし、責任を取りたくないならそのポストを辞退したらいい>

<そんな軽いノリで政治家や大臣やってたのなら迷惑>

 こうした声に、小泉氏はどのように応えるのだろうか。

(文=編集部)

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