ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 『ZIP!』コア視聴率1位を誇る日テレ
NEW

水卜麻美アナが1人で全面広告に…『ZIP!』年間コア視聴率1位を誇る日テレの事情

文=編集部
【この記事のキーワード】, ,
水卜麻美アナが登場した全面広告(「水卜麻美アナのインスタグラム」より)
水卜麻美アナが登場した全面広告(「水卜麻美アナのインスタグラム」より)

 1月5日、読売新聞の東京版の朝刊に日本テレビ水卜麻美アナウンサーの笑顔が踊った。2021年、同局が11年連続で個人視聴率三冠王(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を獲得したことを全面広告で報告したのだ。紙面いっぱいに掲載された水卜アナの“どアップ”はインパクト大だった。

 視聴率三冠王とは、全日(6~24時)、プライム(19~23時)、ゴールデン(19~22時)の3つの時間帯で、在京民放5局の中で平均視聴率1位を獲得すること。日テレは全日4.0%、プライム5.9%、ゴールデン6.2%となっている。

 そんな日テレが「世帯視聴率」にはまったく触れない一方で、対照的だったのがテレビ朝日だ。年間世帯視聴率がゴールデンタイムで10.2%となり、8年ぶりに民放首位を獲得したのだ。ただし、日テレも同率だったため、単独首位ではない。

 さらにテレ朝は、プライムタイムでも世帯視聴率が10.4%で2年連続、開局以来4回目のトップだったと報告している。全日の世帯視聴率は7.3%(日テレは7.4%)で、10年連続2位になったという。

「テレ朝は個人視聴率もうたっていますが、どちらかというと世帯重視でプレスリリースを打っている。一方、日テレは世帯について、まったく取り扱っていません。つまり、言ってしまえば、両者が勝手に“勝ち名乗り”を上げているような状況なのです」(テレビ局関係者)

 同じ視聴率で競い合っているのに、なぜ分断が起きてしまうのだろうか?

「両社の考え方の違いによるものでしょう。年頭の挨拶で、日テレの杉山美邦社長は11年連続個人視聴率三冠王のことにしか言及していませんでした。一方、テレ朝の早河洋社長は個人・世帯のいずれにも触れつつ、49歳までのコア視聴率について『テレビ局が49歳以下に番組編成の軸足を置くことは、営業戦略上必須の判断なので異論は全くありません』としながらも、『公共の福祉という視点に立つと、少子高齢化が急速に進む今こそ、50歳以上のボリュームゾーンにも目を向ける必要があるのではないか』と、年齢で厳密に分け、それ以外の層を切り捨てる考えに異論を唱えていたのです」(同)

 確かに、前年まで49歳で“コア視聴率”の範囲に入っていた視聴者がテレビ局から大切にされていたにも関わらず、翌年には無情にも弾かれてしまうことに違和感を持つ向きもある。購買意欲の高い50代、60代も多く存在するからだ。

 いずれにしても、今や視聴者の間にも個人視聴率が大事だという認識が広がりつつある。そのため、早くから個人視聴率の公式発表を求めていた日テレの戦略勝ちという気もしてくる。

『ZIP!』の年間コア視聴率1位を誇る日テレ

「1月4日、フジテレビは『めざましテレビ 第2部』の昨年の番組平均個人全体視聴率が4.6%、同世帯視聴率が8.3%となり、民放の同時間帯視聴率で4年連続1位だったと発表しました。これについて、昨年からメインキャスターに抜擢されている井上清華アナは『感謝しております。今年も少しでも心地よい朝を過ごしていただけるよう、皆さまからのパワーを原動力に、スタッフ、めざましファミリー一同、努めてまいります』と力強いメッセージを出していました」(芸能ライター)

 一方、裏番組の『ZIP!』(日本テレビ系)は昨春から水卜アナをメインに据えたものの不調が伝えられているが……。

「フジが『めざまし』の年間視聴率1位を発表した日、日テレは『ZIP!』が昨年の年間コア視聴率(13~49歳)で2年連続同時間帯トップを獲得したことを発表しています。ちなみに、月間では20年4月から21カ月連続でトップとなっているそうです。『ZIP!』は個人・世帯ともに『めざまし』『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)に次いで3位なのですが、コア視聴率では優位だと発表しているわけです。これは、若干負け惜しみのような気もしますし、極端に言えば印象操作をしていると思われても仕方ないでしょう」(同)

 また、他局は別の指標を持ち出して優越性を誇示している。

「1月7日、TBSはTVerをはじめとする無料見逃し配信の再生回数が、昨年12月に7862万回を記録し、民放1位になったと発表しました。この背景には、12月30日に封切られた松本潤主演の映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』に合わせて、同作の過去のシリーズや、同じく松本が主演したドラマ『花より男子』のシーズン1、2を配信したこと、さらに10月期から新設された深夜の帯ドラマ『この初恋はフィクションです』が貢献した影響があるそうです」(同)

 アプリの累計ダウンロード数が昨年8月に4000万を突破したTVer。この「配信視聴率」ともいうべき再生回数については、各局も重視している。特にドラマは、テレビの視聴率が低くても見逃し配信では好成績を収めているケースもあるからだ。

ラジオもradikoの再生回数が重要に?

 ラジオ界も、これまではどの局も「聴取率」という絶対的な指標を重視してきたが、明らかな地殻変動が起きている。

 1月4日、各ラジオ局のトップが年頭の挨拶を行った。そこに表れていたのは、聴取率トップ獲得の“戦果”を高らかに告げる局と、王座から陥落しても何も触れない局の、鮮明なギャップだった。

「TOKYO FMは、昨年10月度の個人全体の聴取率が在京局中単独トップに立ちました。これは、首都圏合同聴取率調査が始まった1990年以来、初めてのことです。4日、同局の黒坂修社長は『昨年は当社にとって画期的な年となった』と切り出し、この快挙を興奮気味に語っていました。

 一方、約20年間守ってきた王座から陥落したのがTBSラジオです。業界的にはかなり話題になりましたが、同局の三村孝成社長は年頭の挨拶でもこれについてまったく意に介さないかのように一切触れず、言及するのは収益についてのみ。『現時点でTBSラジオの業績は、ラジオ全局中トップレベルとなっており、数字的にはV字回復が遂げられそうだ。そして、このまま改革が進めば、持続的な成長軌道にも乗れると考えている』と述べています。

 同社長は、2カ月に一度“スペシャルウィーク”と銘打ち、通常の番組編成を変えてまで聴取率を取ろうとする依存体質から脱却して、radikoの再生回数に注目しているようです」(同)

 つまり、ラジオもテレビと同様にオンデマンドが主流になっていくというのだ。今、テレビ受像機のインターネット結線率は50%を超えているという。つまり、テレビ画面は単なる情報端末で、映像マーケットの“ワンオブゼム”になりつつある。テレビ・ラジオ各局は、この絶対勝者なき消耗戦をどう戦っていくのだろうか。

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

水卜麻美アナが1人で全面広告に…『ZIP!』年間コア視聴率1位を誇る日テレの事情のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

関連記事