息子を社長に据えたMDIで再起を図る
祐助氏は06年3月期にはレオパレス株の14.66%を保有する筆頭株主だったが、順次、持ち株を売却していった。
そして、レオパレス株式を処分したカネで08年10月、株式会社MDI(エムディアイ)を設立。MDIはレオパレス21に変更する前の商号であり、自分を追い出したレオパレスへの当て付けとみられている。レオパレスと同じビジネスモデルでアパート建設に乗り出した。
MDIの社長は息子の深山将史氏。将史氏は1994年に明治大学経営学部卒業後、レオパレスに入社。支店長などを歴任し取締役に就き、祐助氏の後継者と目されていた。しかし、祐助氏が失脚すると、父親と行動を共にしてMDIを立ち上げた。祐助氏は当初、MDIの代表取締役だったが、現在は取締役から外れている。レオパレス事件が影響したとみられている。
MDIは2013年、銀座4丁目の歌舞伎座タワーに完成と同時に入居した。歌舞伎座タワーは歌舞伎座の新しい建物の背後に聳える地下4階地上29階建の高層オフィスビル。MDIは7階から10階の4フロアを占める。
MDIのホームページによると、事業内容はアパート・マンションなどの建築請負及びその後の運営・管理、コンサルティング事業。社員数は1617名(19年4月現在)。管理戸数は3013棟、3万7107戸、入居率99.5%(19年3月期)。連結売上高は設立以来、毎期増収で18年3月期は1200億円。
官報に記載されたMDI単体の決算公告によると、18年3月期の売上高は1196億円、営業利益92億円、純利益63億円。純資産は166億円で総資産は616億円。営業利益率7.7%、自己資本比率27%と堅実な経営を続けており、「祐助氏は将史氏と共にMDIの上場を計画している」と伝わる。
「週刊文春」(文藝春秋/19年4月4日号)によると、祐助氏の資産総額は数十億円を下らないという。その祐助氏に逆風が吹きつける。レオパレスの違法建築の元凶として槍玉にあがっていることで、MDI上場計画のハードルは高くなっている。
(文=編集部)