バイオ・ベンチャーのユーグレナ(東京都)が26日発表したプレスリリース『お酒に強い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング、1位は青森県!東北エリアがお酒に強い傾向に』がTwitter上で話題になっている。
同リリースによると、同社関連会社のユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストは2020年5月、ユーグレナ・マイヘルスが手がける遺伝子解析サービスの利用者2万1371人のゲノムデータの解析を元に、遺伝子解析項目の「二日酔い(SNP:rs671)」を抽出して調査した。
「二日酔い(SNP:rs671)」には「お酒を飲んでも二日酔いになりにくいタイプ(遺伝子型:GG)」、「お酒を飲むと二日酔いになりやすいタイプ(遺伝子型:AG)」、「そもそもお酒が飲めないタイプ(遺伝子型:AA)」の3つのタイプがあり、今回の調査では、「GG」に該当する人の推定割合を都道府県別に算出し、数値化したのだという。
酒豪イメージの鹿児島、宮崎両県民は上位ならず
調査の結果、お酒が強い遺伝子タイプの人の割合が相対的に高い都道府県は、1位 青森県(68.92%)、2位 沖縄県(67.92%)、3位 岩手県(67.59%)、4位 秋田県(65.92%)、5位 山形県(65.88%)、6位宮城県(65.31%)となり、上位を東北6県のうち福島県(13位、60.79%)を除く5県が占める結果になった。全体としては、上位に東北エリアが多く、下位に近畿エリアが多くなる傾向だった。ちなみに東京都(57.27%)は20位、京都府(54.52%)は32位、大阪府(53.78%)は34位で、最下位の47位は奈良県(47.86%)だった。
一方、Twitter上などでは焼酎の産地で、酒豪が多いイメージのある九州南部では、鹿児島県(15位、59.51%)、宮崎県(44位、48.65%)などと振るわなかったことに以下のような驚きの声が上がっていた。
「個人的イメージでは鹿児島人が最強と思ってた」(原文ママ、以下同)
「九州の中で、宮崎の弱さ。麦焼酎作ってるのに。。。」
「宮崎県の44位が信じられない宮崎県民です」
今回のユーグレナの調査結果は、ゲノム解析にもとづくものだが、他の指標で各県民の飲酒傾向や酒量などの実情を示すデータはあるのだろうか。
ユーグレナの調査でトップだった青森県広報広聴課や統計分析課の担当者らは「お酒を楽しむ県民性があるのは確かです。総務省の社会生活基本調査の結果などを精査すれば、今回発表にあったデータを裏付けるようなデータがあるのかもしれませんが、飲酒量が他県より多いとか、県民のお酒の購入量など、ぱっと出てくるデータはないので……」と困惑気味に話す。
「成人1人当たりの酒類消費量」は東京1位、高知2位、宮崎3位
一方、国税庁課税部酒税課・輸出促進室が昨年3月に発行した『酒のしおり』の「令和元年度成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表(都道府県別)※沖縄県除く」では、青森県は92.9リットルで46都道府県中4位となっていた。前出のゲノムデータで44位だった宮崎県(3位93.1リットル)が青森県より上だった。なお1位は東京都の105リットル、2位は高知県の94.3リットル、鹿児島は九州7県で2位の88.2リットルで全国平均78.2リットルを上回っていた。
遺伝的な「飲酒耐性」と「県民の飲酒量」が相関しているように見える県がある一方、一致していないケースもあるようだ。九州南部地方の地方紙記者は話す。
「全国的な焼酎の産地で、焼酎の消費量が他県と比較して高いこともあり、国のアルコール健康障害対策基本法施行に伴って、鹿児島県では2019年度から『アルコール健康障害対策推進計画』を策定し、23年度までの5年間で生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている人の数などを減少させる施策を展開しています。どれほど強くても飲み過ぎれば生活習慣病にかかります。体質や遺伝に関わらず、自分自身の適量を知り、身体を損ねずに楽しむのが大事ということなのでしょうね」
ユーグレナのプレスリリースにも次のような注意書きがあった。
「当調査は、飲酒習慣のない方に飲酒を推奨するものではありません。ご自身の判断で、節度ある行動を心がけましょう」
(文=編集部)