ハンバーガーチェーン「モスバーガー」の福岡県福岡市内の店舗で、“使用期間”の切れた食材が客に提供されていたことが発覚した。モスバーガーは2018年に食中毒事故を起こしているだけに、食材管理に対する批判が相次いでいる。
今回の問題を報じた西日本新聞によると、モスバーガーでは科学的データに基づいて「お客さまに安全を提供」できる“使用期間”を食材ごとに設定しており、同期間を過ぎた食材は廃棄するように求めているほか、作り置きも禁止しているという。しかし、問題の店舗では休日の忙しい時間帯に「モスライスバーガー焼肉」に使用する焼き肉を数人分作り置きし、時間管理がされないまま保温・提供されていたことが報じられた。違反行為について、同店の店長は「人手不足から勝手な判断でやってしまった」とコメントしている。
また、モスバーガーを展開する「モスフードサービス」は「加熱調理済みの製品を高温で保管しており、直ちに健康に影響を与える品質劣化の可能性は低い」としているが、問題の店舗に対して「厳正な指導」を行ったとした上で、「今後もチェーン全体に継続的な指導を行い、安全で美味しい商品の提供に努めてまいります」と回答している。
店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「Yahoo!ニュース」の「オーサーコメント」で「これは悪質です。人手不足は言い訳にならないでしょう」「食中毒事故以降、客離れが深刻化していますが、さらなる客離れが懸念されます」と指摘している。同様に、インターネット上では「イメージも信用もガタ落ち」「モスの売りだったクオリティが崩壊したら、ただ高いだけで行く理由がない」との声が続出している状況だ。
また、今回の件が内部通報により発覚したことからも、「内部通報者が立ち上がらなければ、ずっと続いてたってことか」「まだまだ消費者が知らない問題行為がありそう」「モスの闇は深い」という声が上がっている。
西日本新聞によると、この問題のほかに、複数の店関係者が「野菜などの使用期間を延ばすために、店長の指示で仕込み時間の改ざんも行った」と証言しているという。
モスバーガーでは昨年8月、関東・甲信地域の19店舗を利用した28人が「腸管出血性大腸菌O121」に感染する事故が起きており、19店舗のうち2店舗が行政処分を受けた。今回問題となっている店舗では16年4月頃から違反行為があったとされ、モスフードサービスが違反を確認したのは今年1月だという。そのため、ネット上には「食中毒事故より前から起きていたのに気づけなかったのですか?」「モスの食材・衛生管理はどうなっているのか……」「この店舗では食中毒事故があっても知らんぷりだったということですね」といった声が続出している。
消費者の怒りは食材管理だけでなく、トラブルが相次ぐモスバーガーの運営体制にも向けられている。昨年は、食中毒事故以外にも、北海道内の一部店舗利用客の情報がネット上で閲覧可能な状態だったことが判明。外部からのアクセスに対して十分な対策がなされていなかったとして、「システムのセキュリティ強度を高める」などの再発防止策を打ち出していた。