競争が絶えないコンビニ業界のなかで、セブン‐イレブン、ローソンとともに圧倒的な知名度を誇るファミリーマート。コーポレートメッセージである「あなたと、コンビに、ファミリーマート」というフレーズを聞いたことがある人も多いだろう。
親しみやすいキャッチフレーズでお馴染みのファミマだが、4月30日に千葉県柏市の店舗で無人決済システムを導入することを発表。株式会社TOUCH TO GOが開発を担当した本システムは、客の来店から退店まですべてリアルタイムで認識可能であり、手に取った商品と合計金額まで算出できる画期的な仕組みである。このシステムによりファミマは、非対面・非接触の買い物を可能にするだけではなく、オペレーションの省人化、省力化まで見込むことができるとのことだ。
そんな先進的な取り組みを行っているファミマは、この春も多くのフード商品をラインナップした。ファミマは常に魅力的な商品を発売しているものの、一方で“これは微妙”と首をひねってしまうようなものも、わずかながら存在する。そこで本記事では、“この春、要注意なファミマ商品”を5つ選出し、実際に食レポしていきたい。
肉の旨みとやわらか食感! 特製とんかつ弁当/598円(税込、以下同)
「肉の旨みとやわらか食感!特製とんかつ弁当」は、肉の旨味にこだわったお弁当シリーズ「肉弁当 四天王」のひとつとして発売された商品。“ファミマの弁当自信作”と銘打たれてはいるが、SNS上では「価格が高いのにとんかつは筋と脂身だらけ」「ボリュームはあるけど噛み疲れた」など、やや厳しめのコメントが寄せられている。
切り分けられたとんかつの真ん中の部分食べてみると、多少パサパサはしているものの、噛むごとに豚肉の旨味が味わえ、前評判とは異なる美味しさを感じることができる。だが、とんかつの端のほうを食べてみると、SNSのレビューどおり、脂身が多いためゴムのように噛みづらさを感じたのは事実。
しかし、野菜や果物の酸味と甘みがよく効いたソースととんかつとの相性は良かったため、サクサクと食べ進めることはできた。食感が悪かったのは残念だったが、豚とソースの出来と相性は最高だったので、今後の改善に期待したい商品である。
4種の醤が決め手 四川風麻婆豆腐丼/430円
豆板醬、麻辣醤、豆鼓醤、甜面醤を使用した「4種の醤が決め手 四川風麻婆豆腐丼」。辛味と旨味が際立つ4種の調味料を使った本品は、見た目が赤々しく食欲をそそられるが、一口目から微妙な食感と言わざるを得ない評価となってしまった。
まず麻婆豆腐の餡がジェルっぽくネチョネチョしており、口当たりがよろしくない。また油分が多いせいか食べ進めるうちに胃もたれしてきて、くどさを感じるようになってしまった。食感と油っぽさのどちらが損なわれても麻婆豆腐の味は微妙になってしまうので、この2点は本品を語るうえで惜しいところといえるだろう。
とはいえ、醬の旨味は存分に効いており塩気もきつくはないので、味だけで言えば本格的な麻婆豆腐だ。ベースの味は良いので、食感や油の量を調整すればさらにクオリティの高い商品へと生まれ変わるかもしれない。
ファミマ・ザ・クリームパン/128円
ファミマのオリジナルパンブランドである「FAMIMA BAKERY」は、ファミマ屈指の人気ブランドだ。そのなかでも「ファミマ・ザ・クリームパン」は、3月22日の発売からわずか8日で販売数が220万食を突破した大ヒット商品。公式サイト上には“1秒に約3個売れてます”との記載があり、その人気が伺える。
だが、SNSでは対照的に辛口な評価が多数見られた。たとえば「パンがボソボソ、パサパサで美味しくない」「薬っぽい味がする」というパンに対する声や、「売れているけど言うほど美味しくない」と本品の評価を疑問視する声もあったのだ。
実食してみると、確かにパンの部分はパサパサとしており、口の中の水分がなくなりそうな食感。またクリームの量が少なく、パンのみを食べる時間が長くなってしまうため、パンとクリームのハーモニーを楽しみたい人は拍子抜けしてしまうだろう。
ただ、主役のクリームは、卵のコクとバニラの風味が効いたまろやかな甘さの味わいだったので、パンがもう少しもちもちとした食感であれば、本品は多くの高評価を得られていたかもしれない。
具だくさん!かき揚げ/158円
4月26日に新発売した“具だくさん! おむすびシリーズ”のひとつである「具だくさん!かき揚げ」。小えび、大根葉、たまねぎをからりと揚げたかき揚げ1枚がお米に包まれたボリュームがある商品だが、肝心のかき揚げ自体は好き嫌いが分かれる味かもしれない。
実際に食べてみると、かき揚げには魚介風味の甘い特製たれが絡められており、お米との相性が抜群。だが、噛むごとにたれの味よりもえびの風味のほうが強くなっていくので、甲殻類特有の匂いが苦手な人は駄目かもしれない。なお、たれの割合がかき揚げに比べて、やや少なめというのも、えびの匂いが目立ってしまう遠因だろうと考えられる。
かき揚げとごはんの相性は最高だったので、美味しい商品であることは間違いない。だが、かき揚げとたれのバランスがとれておらず、えびの匂いがきつめであることは頭に入れておいたうえで購入したほうがいいだろう。
チャーシュー3枚! 大盛冷し醤油ラーメン/550円
醤油ベースのキリっとした味のスープに豚ロース、豚バラのチャーシューが特徴的な「チャーシュー3枚!大盛冷し醤油ラーメン」。これからの暑くなる時期にぴったりな商品と言えるが、「スープがしょっぱすぎる」という批判的な意見が少なくなかった。
さっそくスープを一口飲んでみると、確かに醤油の塩気がきつく、出汁のコクや風味は弱めだったため、しょっぱさだけが目立ってしまう後味のパンチに欠ける仕上がりであった。しかも、麺はスープによく絡む形状でスープの味がダイレクトに来るので、薄味好きの人は水で薄めるなどして塩分調整をしたほうがいいだろう。
また2種類のチャーシューは適度に味染みされているものの、肉の旨味が薄くパサパサとした食感のため、食べ応えを期待した人からするとやや残念に思う出来だったかもしれない。ひとつの味が目立ちすぎていたせいか、全体の調和がとれていないように感じる商品であったと言えよう。
“この春、要注意なファミマ商品”を紹介してきたが、どの商品も特段味が劣っているという訳ではなかった。ただ巷の評価にギャップを感じる商品や好みが分かれる商品であったため、ぜひファミマでの商品選びの参考にしていただきたい。
※情報はすべて5月3日時点のものです。