震災以降のペットバカ売れの要因は?
中小規模の業者が倒産や撤退、業務縮小などの苦戦を強いられる中、一部の大手は堅調のようだ。流通大手のイオングループが展開する業界1位の「イオンペット」(市川市)や、業界2位の「コジマ」(江東区)は、昨年の売り上げと利益が過去最大を記録した。イオンペットはイオン傘下の「ペットシティ」と、業界大手の「AHBインターナショナル」が今年2月に合併して誕生した国内最大規模のペット企業。ペットショップ164店舗、トリミング・ホテル148店舗、動物病院52カ所となり、それまで最大手だったコジマをすべての規模で大幅に上回った。業界は今、猛スピードで大手への寡占化が進んでいるといえる。
また、動物病院も同じような動きを見せている。先の関係者が言う。
「高齢の院長が後継者不足で廃業を余儀なくされたり、バブル時期に建設されたある巨大病院が銀行管理下になっていたりという話は聞こえてきます。動物病院もペットショップと同様に、チェーン病院や地域のキー病院以外の小規模病院は売り上げが落ちているところが多い。いずれにせよ、自社の特徴を打ち出せずに漫然と経営しているところは潰れていくでしょう」
シンクタンクの富士経済は今年5月、国内のペット関連市場について、ペットフード10品目、ペットケア用品10品目、ペット生活用品10品目の3カテゴリー30品目の市場を調査分析。11年の同市場は前年比0.1%減の3946億円で、12年は1.2%増の3994億円を予想している。「国内全体で景気低迷が続く中で、横ばいを続けているだけでもまだマシ」(同)ともいえそうだが、かといって簡単に参入できる世界でないことも確か。大手のイオンやコジマの好調ぶりさえも、実は要因が解明できていないとの声もある。あるブリーダー関係者が言う。
「イオンやコジマでは昨年、犬や猫が異常なほど売れましたが、実は理由ははっきりしていません。震災の影響で多くの人が寂しさから犬猫を買い求めたとの見方もありますが、しっかり分析できているわけでもなく、単純に前年比較はできません。今後も同じ動きを期待できるとは限らないということです」
一定の市場規模を保ちながらも、水面下では混迷の度合いを深めているペット業界。大手の独占が進む市場に、今から業界素人の河本妻が参入し、期待通りの利益を上げられるかは不透明だ。関係者が指摘する通り、自社の特徴を明確に打ち出したビジョンがあるかどうか。そうでなければ、夫の芸人生活への集中を手助けするのが得策といえるかもしれない。
(文=編集部)