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ビッグモーター、3カ月で1000人が退社…経営破綻は不可避か、いまだ人材募集

文=Business Journal編集部
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ビッグモーターのHPより

 20日付「日刊自動車新聞 電子版」記事は、自動車保険の保険金水増し請求問題に揺れる中古車販売大手ビッグモーターで、1~3月の間に約1000人の社員が退社したと報じた。昨年に水増し請求の事実が発覚したことを受け、同社は今年1月に特別調査委員会を設置しており、一連の不祥事が引き金となり一斉退社が生じたとみられる。同社HPによれば2021年2月時点の従業員数は約6000人であり、全社員のうち1~2割近くが短期間に会社を去ったとみられるが、同社は現在も平均年収1109万円を提示するなどして新規の人材募集を行っており、企業としての姿勢が問われそうだ。

 ビッグモーターの修理工場で行われていた行為は悪質極まりない。顧客から修理を請け負った車両に、故意にゴルフボールを入れた靴下を車体に打ちつけて傷を付けたり、ドライバーで車体に引っかき傷を付けたりして事故の度合いをかさ増しし、損害保険会社に自動車保険の保険金を水増し請求していた。昨年にメディアで報じられた当初、ビッグモーターは組織的関与を否定。批判の強まりを受けて今年1月に特別調査委員会を設置しお詫びコメントを発表したが、その後も積極的にCMを放送し、さらに本部は店舗や工場など現場に対して高いノルマを課し続けていた。

「ビッグモーターはノルマがキツイので、ついていけない社員はすぐにやめてしまうが、会社に適応して残っている社員はそれなりに良い給料をもらっているので、辞めるに辞められない社員も多い。管理職クラスだと年収1000万円という話もあながち嘘ではない。これまで内部にいて詐欺行為に対して感覚が麻痺していた社員が、一連の報道で会社が違法な活動で利益をあげていると気づき目が覚めたり、会社の倒産を見越したりして退社したということだろう。今後、同社が顧客や保険会社などに対して負う補償や損賠賠償の金額は巨額になると予想され、法人として刑事罰を問われる可能性もある。すでに車両整備の新規受付は停止しており、本業の中古車販売のほうも今さらビッグモーターで車を買おうと考えるお客もいない。すでに事実上の営業停止状態で、破綻は不可避で時間の問題。これから雪崩を打つように退社者が出る」(ディーラー関係者)

 調査委員会は今月7日に報告書をまとめたが、損保会社各社には報告書の抜粋版のみを提出し、悪質な行為の内容や経緯を省略。さらに現在もビッグモーターの公式サイトのトップページ上部には大きく「クルマを売るならビッグモーター」「6年連続買取台数日本一」「安心BIG車検は年間26万台の車検実績」などの宣伝文句が躍っており、反省の色は見えない。

全件調査は事実上不可能

 事態を受け国も動きだした。国土交通省が今週にもビッグモーターに聴取を行う方針を示し、共同通信の報道によれば、同社は過去の車両修理について期間を区切って全件調査を行うという。

「修理件数は年間で数万件に上り、どの車両に誰がどんな傷をつけたのかを記録しているわけでもないので、全件調査など不可能。調査するにしてもコストは膨大で、調査の間は新規の修理受付はできないだろうから、調査が終了する前に会社が潰れる。できもしない全件調査を言い出すところをみると、もう経営陣は会社の存続を諦めたとすら感じる」(同)

 同社をめぐっては、高いノルマに加え、役員が月1回の頻度で店舗を回り掃除や整理整頓の状況をチェックする「環境整備」が行われ、不備が見つかると店長がその場で降格が命じられるため前日に深夜まで掃除をしたり、グループLINEで幹部が店長に罵詈雑言を浴びせたりすることが日常的に行われていたことも明らかになっている。そのため、不祥事を受けて同社を去る社員が数多く出るのは当然ともいえる。

「ビッグモーターに勤務していたことが転職で不利に働くということは、あまりないのでは。キツイ環境で知られる企業に一定期間勤めた経験があると、それが選考において高く評価されるケースも少なくなく、営業職や技術職の経験者を求めている企業は多い。ただ、面接では当然ながらビッグモーター勤務時の経験を聞かれるので、その伝え方を間違うとマイナスに評価される恐れもあり、どのような内容をどのように話すのか、事前に入念に準備したほうがよい」(人材サービス企業社員)

 当サイトは21日付記事『ビッグモーター、現在も年収1109万円を提示し人材募集…転職サイトでオファー』でいまだに新規の人材募集を行っている実態を報じていたが、改めて再掲載する。

――以下、再掲載(一部抜粋)――

 自動車保険の保険金水増し請求問題に揺れる中古車販売大手ビッグモーターが、謝罪コメント発表後の現在も平均年収1109万円を提示して新規の人材募集を行っていることがわかった。同社は全国の店舗や整備工場に対して過大な営業ノルマを課していた事実が判明しているが、募集要項には「押し売りナシ&ノルマもナシ」と書かれており、さらに社員の最高年収が5040万円であることも謳われており、同社の姿勢が問われそうだ。

 ここへきて新たな事実も次々と判明している。19日付「テレ朝news」記事によれば、車検を行う整備部門が保険会社に不正請求をするために、顧客から預かった自動車のタイヤにドライバーとネジで穴を空けて自然にパンクしたように見せかける方法を指南する動画を作成しているという。また、バッテリーを新品に交換するとして代金を受け取ったものの、実際には新品に交換していない事例もあるという。

 背景には、本社から店舗や工場が課される高いノルマがある。調査委員会がまとめた報告書によれば、修理1台当たりの工賃と部品から得る粗利の合計金額が14万円になるようノルマが設定されているという。また、19日付朝日新聞記事によれば、店舗の営業担当者は買い取りと販売の月間台数5台ずつというノルマが設定されており、達成できないと上司から厳しく叱責されることもあるという。

現在も転職サイトの登録者に対して「応募オファー」

 一般的に企業は不祥事が発覚した直後は当面の間、宣伝活動や積極的な採用活動を自粛するが、ビッグモーターは19日になるまでCMの放送を継続。さらに前述のとおり高額の待遇を提示して人材採用活動も継続。ある転職サイトに掲載されている募集要項には、

「学歴・職歴は一切関係なく、やる気を重視しています」

「クルマの知識ゼロでも安心」

「月給24万2,900円~200万円」

「【平均年収モデル】部長:年収3,668万円(38歳)」

といった文面が並び、実際に働く社員の声として以下のような内容も記述されている。

「都内の一等地にマイホームを購入」

「高級時計を衝動買いしたり、3~4台の車を持ってたりとリッチな生活を送っている社員がたくさんいます」

 さらには現在も、ある転職サイト上では登録者に対して「応募オファー」を送っており、そこには「平均年収957万円」「フリーター・中卒もOK」などと書かれている。ディーラー関係者はいう。

「この年収額はあながち嘘ではないだろう。新車や中古車に限らず、車のディーラー業界というのは、学歴や職歴問わずに頑張りと能力次第で誰でも高額の年収を得られる可能性のある実力主義の世界。確かにノルマに厳しい業種ではあるが、ビッグモーターのようなブラックぶりは特異中の特異な例。中小のディーラーや整備工場は悪い噂が広まればお客が来なくなって潰れてしまうので、そんなに悪質なことはできない。ビッグモーターのせいで業界全体の信用が損なわれるのは、いい迷惑。

 報道によれば、本社の幹部が月1で営業店舗を巡回訪問して掃除が行き届いているかを厳しくチェックして、できていないとクビになるので深夜まで掃除していたということなので、『そういう会社』だということでしょう」

(文=Business Journal編集部)

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