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餃子の王将と大阪王将、味&コスパ比較で真逆の特徴…価格割高でモダン志向なのは

文=Business Journal編集部、協力=稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長
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大阪王将のHPより

「餃子の王将」と「大阪王将」。どちらも全国展開する人気の中華料理チェーンだが、両者を姉妹店だと思い込んでいたり、異なるチェーンだという認識がない人も少なからずいるようだ。餃子の王将は王将フードサービス、大阪王将はイートアンドホールディングス(HD)傘下と、運営会社はまったくの別会社だが、気になるのは看板メニューの餃子はどちらが美味しいのか、そしてメニュー全体を比較した際にどちらのほうがコスパが良いのかという点だろう。そこで今回は専門家の見解を交えながら、両者の違いを比較してみた。

 実は餃子の王将と大阪王将は発祥母体は同じ。1967年に京都で創業した餃子の王将は当初、主に京都府内に店舗を展開していたが、69年にのれん分けのかたちで現在の大阪王将が誕生。85年には「王将」という商標をめぐり両者は裁判で争い、それぞれ現在の店名とする旨で和解。現在、餃子の王将は国内に732店舗(3月31日現在)、大阪王将は約347店舗(5月末現在)を展開している。

「店舗数も社員数も餃子の王将のほうが多いが、店舗形態を餃子専門店のみに絞っている餃子の王将とは対照的に、大阪王将を擁するイートアンドHDはグループとしてイタリアン風ラーメンの『太陽のトマト麺』やベーカリーショップ『R Baker』なども展開し、通販事業にも力を入れるなど多角化を進めている。ちなみに、王将フードサービスもイートアンドHDもともに東京証券取引所プライム市場に上場している、れっきとした一流大企業だ」(外食業界関係者)

 改めて餃子の王将(関東)と大阪王将(東京・新宿店)のメニューを見てみると、餃子の王将の「餃子」は6個入りで297円(税込み/以下同)で大阪王将の「元祖焼餃子」は同じく6個入りで290円とほぼ同額。餃子の王将の「ニラレバ炒め」は583円で、大阪王将の「レバニラ炒め」は710円。餃子の王将の「回鍋肉(ホイコーロー)」は583円で、大阪王将の「ホイコーロー」は770円。餃子の王将の「焼そば(ソース/醤油)」は550円で、大阪王将の「炒め焼きそば」は680円。餃子の王将の「炒飯」は550円で、大阪王将の「五目炒飯」は620円となっており、全体的に大阪王将のほうが高めという印象を受ける。

 また、大阪王将には「オムライス」「マーボー天津飯」「海老マヨネーズ」「チキン南蛮」といった餃子の王将にはないメニューもみられ、メニューのバラエティーの豊かさという面では大阪王将のほうがやや強いといえるかもしれない。

「アルコール類を含むドリンク類を見ると、餃子の王将のほうが大阪王将より割安な価格であるのが一目瞭然。餃子の王将は客席が狭く、店内の雰囲気も一人ないし少人数の男性サラリーマン客がさっと食べてさっと帰る『庶民の店』志向。一方、大阪王将はメニューにも新しい要素を取り入れつつ、グループ客や家族客がゆったり食事ができる店づくりを意識している。その意味では同じ中華料理チェーンでも真逆の方向性といえるのでは」(同)

餃子にも特徴的な違い

 そんな両者の特徴の違いはどこにあるのか。まず餃子について、南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏は次のように分析する。

「両者の餃子はよく似ていますが、比較すると大阪王将の餃子は、クセがなく食べやすい印象を受けます。肉感もやや強めです。対して餃子の王将の餃子はたっぷり使われたキャベツに加え、香味野菜(ニンニク、生姜、ニラ)の風味をしっかり生かした、印象に残る味わい。また、『にんにくゼロ生姜餃子』『にんにく激増し餃子』など、その香味野菜の効いた特徴をさらに強調する商品展開もなされています。大阪王将では期間限定商品として、餃子の王将のものによく似たタイプを『復刻!元祖餃子』として販売することがあります」

 またメニュー全体で見ると、大阪王将は一部に低価格メニューを効果的に導入しているという。

「両者はメニュー内容や価格設定に似た部分もかなりありますが、大阪王将は餃子がやや安いだけでなく、『中華そば』(610円)や『ふわとろ天津飯』(520円)といった低価格メニューを効果的に配しています。味に関しても、より現代的な食べやすい味わいを目指して変化し続けている印象があり、餃子の味の違いや『ふわとろ天津飯』の開発は、まさにそういう方向性を象徴しているといえるでしょう。また、明るくすっきりとした店舗設計や、キッズメニューやドリンク付きのセットなどの充実も相まって、より『ファミリーレストラン』として使い勝手の良い店を志向していると感じます。

 対して餃子の王将は、いわゆる『町中華』といわれるような個人店のダイナミズムを、愚直なほどに受け継いでいます。それはチェーン店とはいえ、あくまで職人の技術がすべての基本という姿勢に表れているように感じます。ですので餃子の王将は店舗裁量の限定メニューが多く、共通メニューでも店舗ごとの味の違いがあります。店舗設計もオープンキッチンが基本で、そんな職人たちが並んで鍋を振り続けるライブ感溢れる光景には、良い意味でチェーン店らしからぬ迫力があります」(同)

(文=Business Journal編集部、協力=稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長)

稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長

稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長

料理人・飲食店プロデューサー。鹿児島県生まれ。京都大学卒業後、飲料メーカー勤務を経て円相フードサービスの設立に参加。和食、ビストロ、インド料理など、幅広いジャンルの飲食店の展開に尽力する。2011年、東京駅八重洲地下街に南インド料理店「エリックサウス」を開店。現在は全店のメニュー監修やレシピ開発を中心に、業態開発や店舗プロデュースを手掛けている。近著は『食いしん坊のお悩み相談』(リトル・モア)。

Twitter:@inadashunsuke

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