ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 「ヤクルト1000」が品薄解消?
NEW

幻の商品だったヤクルト1000が大量陳列…アレにブーム移行or増産体制?

文=佐藤勇馬
【この記事のキーワード】, ,
Yakult(ヤクルト)1000/Y1000
Yakult(ヤクルト)1000/Y1000

 「睡眠の質が爆上がりする」といった口コミが広がったことで大ブームとなり、長らく品薄となっていたヤクルト本社の「Yakult(ヤクルト)1000」(宅配用)と「Y1000」(店頭用)。とくに店頭用の「Y1000」は「棚に並んだ瞬間に売り切れる」「スーパーなどで購入個数制限が行なわれる」というような状態が続いていた。しかし、最近になって大量に陳列されている写真がSNSで拡散され、品薄が解消されたのではと話題に。これに対して、ネット上では「生産体制が整って供給量が上がったからでは」「別商品にブームが移った?」「愛用者は宅配での定期購入に切り替えたのでは」「たまたま大量に残っていただけで、今でもすぐ売り切れる」など、さまざまな憶測が飛び交っている。品薄解消は本当なのか、事実ならその理由は何なのか。ヤクルト本社に見解を聴いた。

 ヤクルトレディによる訪問販売等で販売している「Yakult1000」は、ヤクルト史上最高密度の「乳酸菌 シロタ株」(1ミリリットル当たり10億個)を配合し、一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」や「睡眠の質向上」の機能が期待できる同社初の機能性表示食品。2019年に地域限定で発売し、2021年4月から全国販売を開始した。

 2021年10月から販売開始となった店頭用の「Y1000」は、同じく1ミリリットル当たり10億個の「乳酸菌 シロタ株」を含んでいる。両商品はネットの口コミや芸能人の発言によって「睡眠の質がめちゃくちゃ上がる」「翌朝すっきり目覚められるらしい」と話題になり、店頭で買える「Y1000」はどこのスーパーやコンビニでも売り切れで品薄状態に。レアアイテムのようにSNS上に「発見報告」が書きこまれたり、一部で転売行為が横行したりと、乳酸菌飲料としては過去に類を見ない大ブームとなった。

 「幻の商品」のようになっていたのだが、今年1月末にSNS上で「あんなにチヤホヤされてたのにな…」といったコメントと共に十分な数の「Y1000」が棚に陳列されている写真が拡散された。6万件以上の「いいね」が寄せられるなど多くの人の関心を呼び、この写真をめぐってネット上では「増産で安定供給できるようになったのでは」「大量に買う愛用者が宅配に切り替えたからでは」「今でも品薄だと思う」といった意見が噴出した。

 また、最近はネット上で“脳のエネルギー源”といわれるブドウ糖30gを配合した森永製菓「inゼリーエネルギーブドウ糖」が「飲んだ後の頭の回転が違う」「集中力が上がって受験勉強がめっちゃはかどる」などと注目されて流行しており、そちらにブームが移ったのではと推測する声も。ただ、先述したように「Yakult1000」「Y1000」とは期待できる効果が異なり、購入者の目的を考えると競合関係にあるかどうかは不明だ。

「まだ品薄状態は続いております」

 いずれにしても、品薄が解消されたのであれば「Y1000」を店頭で買いたかった人にとっては朗報だが、実際のところはどうなのだろうか。ヤクルト本社の担当者に「品薄解消は本当なのか」を聴いた。

「宅配専用商品『Yakult1000』は、2023年4月の増産により、既存のお客さまからの注文に応えられる水準となりました。『ヤクルト届けてネット』(宅配をネットで申し込めるシステム)では、新規のご注文を中止しておりましたが、供給体制を考慮し、2023年8月21日から受注口数に上限を設けたうえで、注文を受け付けております。また、2024年1月の増産により本格的に新規のお客さまづくりに注力したいと考えております。

 店頭主体商品『Y1000』は、生産能力は段階的に増強していますが、一部の店舗では本数制限をしているなど、まだ品薄状態は続いております。お客さまおよびお取引先さまには、大変ご迷惑をおかけしておりますこと深くお詫び申しあげます。さらなる生産体制強化に向けて準備を進めており、2024年3月以降に供給能力を増強する予定ですので、そのうえで今後の需要を見極めていきたいと考えております」(ヤクルト本社担当者)

 どうやら、需要の高さは続いていて品薄が解消されたわけではないようだ。実際、SNS上では先述の話題になった写真に対して「ウチの近所のスーパーは2店舗とも品切れだった」「なかなか買えないのは変わってない」「買おうと思ったタイミングに買えないことは今でもよくあるぞ」といった意見が散見される。「以前よりは買いやすくなった」という声もあるのだが、通常の商品のように「いつでもどこでも買える」という状態でないのは間違いないだろう。

 同社は「Yakult1000」「Y1000」を生産する新工場「富士小山ヤクルト工場」の稼働を開始させるなど生産体制の強化を進めており、本格的な品薄解消を目指す。ファンの多い商品であるだけに安定供給の実現を期待したい。

(文=佐藤勇馬)

佐藤勇馬/フリーライター

佐藤勇馬/フリーライター

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

Twitter:@rollingcradle

幻の商品だったヤクルト1000が大量陳列…アレにブーム移行or増産体制?のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!