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マクドナルド「マックチキン」が価格2倍のKFCバーガーより高クオリティ?

文=Business Journal編集部、協力=稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長
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「マックチキン」(マクドナルド公式サイトより)

 マクドナルドが24日に「チキンクリスプ」をリニューアルするかたちで発売した「マックチキン」(180円)。200円を切るお手頃価格となっているが、同じく揚げたチキンを使用したバーガーとしてはケンタッキーフライドチキン(KFC)の「チキンフィレバーガー」(440円)が有名。マクドナルドはKFCの半額以下で類似商品を投入した格好になり、「チキンバーガー代表格のお株を奪おうと本気を出した」とその戦いの行方に注目が集まっている。今回は商品のクオリティ面、コスパ面から両者を比較してみたい。

 これまでマクドナルドはチキンバーガーとして「チキンフィレオ」「チキンクリスプ」「スパイシーチキンバーガー(スパチキ)」「チキンチーズバーガー(チキチー)」を販売してきたが、今回、「チキンクリスプ」のボリューム感をアップさせソースもレモン風味を効かせたマヨネーズ系のスイートレモンソースに変更するなどリニューアルを実施し、新たに「マックチキン」として価格据え置きで発売。これに伴い、「スパチキ」の正式名称を「スパイシーマックチキン」に、「チキチー」の正式名称を「マックチキンチーズ」に変更した(「チキンフィレオ」は従来どおりのまま)。

 チキンバーガーといえば、チキンメニューをメインに据えるKFCの「チキンフィレバーガー」が代表的な存在。KFCのチキンは11種類のハーブとスパイスを配合したもので、一般的な製法であるフライヤー調理とは異なり、圧力鍋で最高温度185℃で約15分かけて揚げるというもの。店舗内で1本1本、手づくりでつくられており、そうして出来上がった肉厚のチキンをバンズに挟んだのが「チキンフィレバーガー」だ。使用されている具材はマヨソースとレタスであり、構成要素としてはマクドナルドの「チキンクリスプ」とほぼ同じ。

新たな基幹商品になることを期待

 前述のとおりKFCの「チキンフィレバーガー」はマクドナルドの「チキンクリスプ」の2倍以上の価格となっており、気になるのは味とクオリティの差だ。まず、後者について飲食プロデューサーで南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏はこう分析する。

「『チキンクリスプ』からのいわばアップデート版として登場した『マックチキン』、確かにチキンのボリューム感がアップしており、食べごたえが増していました。もともとこのチキンはジューシーかつプリっとした、いかにも日本人好みの食感が特徴でしたが、この特徴がさらに生きる仕様なのではないかと思います。今回変わったのは、商品そのものというよりその位置付けもあるのではないでしょうか。『チキチー』や『チキンクリスプ』は、あくまで『ビッグマック』や『ダブルチーズバーガー』といった基幹商品を補完するラインの商品という位置付けで登場したわけですが、『マックチキン』は店名も冠し、新たな基幹商品として、いうなればマクドナルドの新しい『顔』のひとつとなることも期待されているように思われます。

『チキンクリスプ』から変わった点に、ソースの変更もありました。イエローマスタードソースからスイートレモンソースになったことで、甘酸っぱさを基調とした味わいは基本そのままに、よりマイルドで食べやすいものになっています。マスタードはどうしても多少好き嫌いが分かれる面があるので、この変更により、より幅広い顧客に支持されやすくなるのではないかと思います」

KFC「チキンフィレバーガー」との比較

 では、KFCの「チキンフィレバーガー」と比較した場合の違いはどうだろうか。外食チェーン関係者はいう。

「チキン単体での比較でいうと、やはりKFCのほうが手が込んでいる分、クオリティは上。だが、これが『チキンフィレバーガー』になると、厚めの肉と衣、バンズが重なり食感としてゴソゴソ感が出てしまっている。さらに『単にチキンをバンズで挟んだだけ』という印象で、チキンとバンズ、ソースの存在感がバラバラで全体的に調和が取れていないと感じる。食べ進める途中でバンズが邪魔と思えてくるし、トータルでの厚みがありすぎてやや食べにくい。

 それに比べてマクドナルドの『チキンクリスプ』はKFCと比べるとチキンの厚さは薄いが、逆にそれによってバンズ、レタスとのバランスが取れていて、バーガートータルで絶妙な調和が生まれている。重要なカギとなっているのが、バンズの美味しさだ。『しっとり』と『ふっくら』が共存しており、それがサクサクのチキンとソースとのハーモニーを生んでいる。総合すると個人的にはマクドナルドの『チキンクリスプ』のほうがバーガーメニューとしては高い評価をつけたいと感じる」

 そんな『チキンクリスプ』だが、こんな懸念もあるという。

「『チキンクリスプ』が優秀すぎるため、価格が2倍の『チキンフィレオ』(410円)の需要を食ってしまわないかが気がかり。『チキンフィレオ』のほうがパティは厚いし、あのオーロラソースはかなり魅力的だが、『2倍のお金を払うならチキンクリスプで十分』と感じる客が一定数生じる可能性がある。特に10代の中高生など若者層は、そうした購買行動に向かうかもしれない。もっとも、この年代の客層はバーガー類を注文せずに、グループで『チキンマックナゲット』や『マックフライポテト』をシェアするという傾向もあるため、マクドナルドとしてはそうした低予算の若い客層を意識して低価格で『揚げたチキン』系のメニューを投入したという狙いもあるかもしれない」(同)

「ご飯と合う」アピールか

 ちなみにKFCの戦略について別の外食チェーン関係者はいう。

「大前提としてKFCのメニューは概ね高い。ここ数年値上げを重ね、たとえば『オリジナルチキン』は1ピースで310円、『ナゲット5ピース』が480円となっており、価格の安さで勝負していない。KFCには多少高くなっても買ってくれる根強い固定ファンがいるため、そうした層を重視しているのでは。また、KFCの『オリジナルチキン』はバーガーなどのパン類よりもご飯と相性が良い。現在、公式サイト上でも『オリジナルチキン』とご飯を組み合わせるアレンジレシピを多数紹介しているが、期間限定で『えびぷりぷりフライ』など和風テイストの商品を投入したりもしていることから、今後は『ご飯と合う』という点を意識した商品戦略を展開していくのではないか」

(文=Business Journal編集部、協力=稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長)

稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長

稲田俊輔/「エリックサウス」総料理長

料理人・飲食店プロデューサー。鹿児島県生まれ。京都大学卒業後、飲料メーカー勤務を経て円相フードサービスの設立に参加。和食、ビストロ、インド料理など、幅広いジャンルの飲食店の展開に尽力する。2011年、東京駅八重洲地下街に南インド料理店「エリックサウス」を開店。現在は全店のメニュー監修やレシピ開発を中心に、業態開発や店舗プロデュースを手掛けている。近著は『食いしん坊のお悩み相談』(リトル・モア)。

Twitter:@inadashunsuke

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