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マクドナルド、2年で3割も値上がり…モスやバーガーキングのほうが安い現象

文=Business Journal編集部
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マクドナルドのHPより

 日本マクドナルドは一部メニューの店頭価格を10円から30円値上げすると発表した。マクドナルドの値上げは過去2年で5度目。その間、都心店では「ビッグマック」が約3割も値上げされるなど(都心店の現行価格500円)、急ピッチかつ大幅な値上げが進行している。そのため、マクドナルドより高い価格帯とされてきたモスバーガーやバーガーキングとの価格差は縮小し、一部の類似商品ではモスやバーガーキングのほうが安くなる現象が発生し、話題を呼んでいる。

 原材料価格・エネルギーコストの上昇を受け外食業界で値上げが続くなか、マクドナルドは2022年3月と9月、昨年1月と7月に値上げを実施。昨年7月の価格改定では「通常店」「準都心店」「都心店」で異なる価格設定がなされたことも注目された。今回の値上げの対象になるメニューは全体の約3分の1で、新価格の適用は今月24日から開始。主なメニューの値上げ幅は次の通り(以下、税込み。都心部の店舗などでは価格は異なる)

・てりやきマックバーガー:370円→400円
・フィレオフィッシュ:370円→400円
・チキンフィレオ:380円→410円
・ダブルチーズバーガー:400円→430円
・えびフィレオ:400円→430円
・エッグマックマフィン:240円→260円
・ソーセージエッグマフィン:290円→320円
・マックグリドル ソーセージ:230円→250円
・チキンマックナゲット5ピース:240円→260円
・チキンマックナゲット15ピース:710円→740円
・炭酸ドリンク Lサイズ:270円→290円
・カフェラテ(ホット・アイス)Sサイズ:190円→210円、Mサイズ:250円→280円

 一方、「ハンバーガー」「チーズバーガー」「マックフライポテト」の価格は据え置かれるが、外食チェーン関係者はいう。

「1回あたりの価格改定の値上げ幅は数十円単位なのでインパクトが和らげられているが、一昔前と比べると『だいぶ高くなった』という印象。特にファンが多い『てりやきマックバーガー』『フィレオフィッシュ』『チキンフィレオ』が軒並み400円台に乗ったインパクトは大きい。今回の価格改定で巧妙だと感じるのは、昼マックの単品価格を引き上げた一方でバリューセットの価格は据え置いている点。ドリンク類は原価率が低く『儲かる商品』なので、ドリンク類が付いたバリューセットの購入を促す意図があるのだろう。また、学生などの若者層の客はグループで来店して『ポテナゲ』をシェアしたり期間限定のスイーツを食べて、ハンバーガー類を注文しない傾向もあるが、『ポテナゲ』の価格は据え置いている。一方、固定ファンがついているため多少高くなっても売れる『てりやきマックバーガー』『フィレオフィッシュ』『ビッグマック』は値上げされており、全体的にかなり客の購入動向に目配せした価格改定になっている」

モスやバーガーキングとの価格差がなくなる

 そんなマクドナルドの値上げを受け、競合するモスやバーガーキングとの価格差がなくなりつつあると話題になっている。たとえばマクドナルドとモスバーガーの類似商品の価格を比較すると以下のようになる(マクドナルドの価格は新価格。以下同)。

マクドナルド          モスバーガー
てりやきマックバーガー:400円 テリヤキバーガー:430円
フィレオフィッシュ:400円   フィッシュバーガー:390円
チキンフィレオ:410円     チキンバーガー:360円
ビッグマック:480円      ダブルチーズバーガー:440円

 マクドナルドとバーガーキングの類似商品の価格を比較すると以下のようになる。

マクドナルド          バーガーキング
ダブルチーズバーガー:430円   ダブルチーズバーガー:460円
てりやきマックバーガー:400円  スモーキーテリヤキバーガー:350円
フィレオフィッシュ:400円    フィッシュバーガー:400円

 また、バーガーキングは値下げキャンペーンも頻繁に行っており、現在も1月12~18日の期間限定で、通常価格530円の「ベーコンチーズワッパーJr.」と「クアトロチーズワッパー Jr.」について2個で600円の新春初売りキャンペーン「初売チーズバーガーズ」を実施中。このほか、アプリで入手できるクーポンを使うと以下のようになる(期間限定)。

・フレンチフライL:290円
・ホットコーヒー(M):160円
・ワッパーチーズ+ポテトM+ドリンクM:710円

マクドナルドの巧妙な価格戦略

 こうした価格差の縮小や一部メニューの「逆転現象」を受け、SNS上では以下のような声があがっている。

<モスの方が安くなってんのエグい>

<モスバーガーの方がマクドより安いとかモス行くに決まってるけどモス近所にない>

<味も値段もモスの方が良いなら…もうマックなんて一生行かない>

<世の中のマックが全部バーガーキングになったっていい>

<バーガーキングに行け的なの見たけど最寄りのバーキン行くまでの交通費考えたら結局マックの方が安い>

<モスの方が美味しいからよく行ってるけど安いからって理由で来る層が出始めると環境荒れそうで怖い。モスも相応に値上げして>

<マック値上げしてからバーガーキングばっか行ってる、味のクオリティレベチに高いのにクーポン使えばマックより安いから最高>

<ハンバーガーへの対コスパ満足感ならバーガーキング>

<皆バーガーキングに行こう。近くにない?>

<最近マックよりモスの方が、バーガーキングが、って話聞くけど近くにマックしか選択肢がねぇんだよな>

 外食チェーン関係者はいう。

「全体でみると3チェーンの価格差は『ほぼない』といえるが、たとえばマクドナルドの主力メニューである『チーズバーガー』(200円)を比較してみると、モスとバーガーキングが280円となっており、またマクドナルドはSサイズが120円の『プレミアムローストコーヒー』に代表されるようにドリンク類が圧倒的に安い。値上げを続ける一方で『ちゃんと安いメニューも揃えていますよ』というのは顧客の安心感にもつながり、ここはマクドナルドの強み。実際、相次ぐ値上げにもかかわらず売上も利益も落ちておらず、23年12月期の営業利益は過去最高になる見通し。価格戦略・商品戦略としては非常に巧みで優秀としかいいようがない。

 もっとも、消費者がどのチェーンを選ぶのかは、結局は個人の味の嗜好次第。『モスは高品質』というイメージが強いが、ジャンキーな味を好む人も多い。モスとの価格差がなくなったとしても相変わらずマクドナルドを選ぶ人は多いだろうし、バーガーキングにいたっては店舗数が圧倒的にマクドナルドより少ないので、選択肢に入ってこない消費者もいるだろう」

(文=Business Journal編集部)

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