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マクドナルド「バイトあるある」検証…ポテト量少ない時も、最低時給でも辞めない

取材・文=A4studio
マクドナルドのHPより
マクドナルドのHPより

 ファストフードチェーン最大手で多くの人に馴染みがあるマクドナルド。それゆえに「マックのバイトあるある」はネット上などでたびたび盛り上がるトピックだ。しかし、巷に流れる「あるある」は果たして本当なのだろうか。そこで今回は、都内のマクドナルドの現役店員・Aさんに、その真相や内部事情を聞いていきたい。ちなみにAさんは、学生時代にアルバイトとして4年間働いた後に正社員となり、マクドナルド店員歴は10年以上というベテランである。

お客様からの注文系

・「いつも同じメニューを頼むお客様は、顔と注文は自然と覚えてしまう」

 いつも同じメニューを頼んでいると、店員さんたちに「またアイツ同じの食ってるな」と思われてしまうのだろうか。

「常連さんは、いつも注文するメニューを覚えるようにしていますね。たとえばコーヒーを頼む人なら、お砂糖とミルクの有無は覚えて、いちいち聞かないようにしています。それで、カウンター担当の新人のクルー(店員)には、『あのお客様は、コーヒーはブラックで飲むから』みたいに、業務連絡的に伝えることもあります。ただ裏で店員同士で茶化すようなことはしてないのでご安心を(笑)」(Aさん)

・「『スマイルください!』と注文してくるのはだいたい男子学生の罰ゲーム」

 マクドナルドの「スマイル¥0」は有名だが、男子学生らの罰ゲームなどで実際にオーダーが入ることはあるのだろうか。

「昔はけっこう言われることありましたが、最近はかなり減ったと思います。それに最近は言われるとしたら男子中高生とかではなくて、小学校低学年ぐらいの小さい子から言われますね。コロナ禍は私たちクルーもマスクをつけていたから、さらにスマイルを言われなくなったというのもあるかもしれませんが、コロナ禍の前からほとんど言われなくなっていました。『スマイル文化』自体が廃れてきているのかもしれません」(同)

・「『チーズバーガーのチーズ抜き』といった謎オーダーがたまにある」

「チーズバーガーのチーズ抜き」といった謎オーダーはあるのだろうか。また、それは罰ゲームなどなのだろうか。

「『チーズバーガーのチーズ抜き』って、実はたまにオーダー入るんですよ。作ってるオペレーション担当(キッチン担当)からすると、これってただのハンバーガーじゃないの? って思うかもしれませんが、罰ゲームとかでもないんですよね。例えばチーズバーガーのハッピーセットのクーポンを持っているけど、でもチーズが嫌いだという場合は、こういうオーダーをされるんです。ほかにもチキンクリスプのパティ(チキン)抜きというオーダーをしてくる常連さんもいましたよ。その人はたぶん、チキンは好きじゃないけど、バンズとレタスにチキンクリスプのソースがかかった味が好きだったんだと思います」(同)

・「いまだにモバイルオーダーを使わないお客様が多く、カウンターに行列ができちゃう」

 モバイルオーダーはスマホから注文できる便利なサービス。カウンター担当の店員からすると、なんでいまだにレジにわざわざ並んで行列をつくるんだろう……と不思議がられているのだろうか。

「うちのお店の場合、モバイルオーダーを使うお客さんはまだ全体の3割ぐらいしかいないんですよ。使い方がわからないっていう人もまだまだいると思いますし、あとはモバイルオーダーだと『●●抜き』みたいなイレギュラーな注文のなかには、カウンターでの対面でしか受け付けていないものがあったりするので、使ってないというお客様もいると思います。だから不思議に思ったりはしないですよ。クルー側からすると、モバイルオーダーだとカウンター業務が減るというメリットはありますが、見えないお客さんからの注文が一気に重なって、急にオペレーションが激務になってパンクしそうになるときもあるので、いいことばかりではないですね」(同)

内部のルール事情系

・「まかないで商品を食べられるので、つい食べすぎて太ってしまう」

 マクドナルド店員は商品を、まかないとしてタダで食べられるのだろうか。

「いえいえ、さすがにタダじゃないですよ。クルー割引はエンプロイミールと言って、3割引きで買えるようになっています。休憩中にお店で3割引きのバーガーを食べる人もいますけど、近くのコンビニでなにか買ってくる人とかもいるので、マックで働いてるから太りすぎちゃうっていうのは、あんまり聞いたことないですね」(同)

・「『マックフライポテトL頼んだのにMサイズぐらいの量しか入ってない』と文句を言われる」

 確かにマックフライポテトのLサイズを頼んだのに、メニューの商品写真のように盛り盛りになっておらず、Mサイズぐらいしか入っていないように見えることもあるが、これはどういった事情があるのだろうか。

「ポテトを詰めるのって意外と技術がいるので、そのクルーの上手い・下手によって変わってくるんだと思います。ただ、Lサイズを頼んだのにMサイズの量しか入ってなかったというような、お客様が損するケースはほとんどないと思います。考えられるのは、ちゃんとLサイズの既定の量が入っているけど、ポテトがパッケージの中にギュウギュウに詰め込まれすぎていて、見た感じは少なく見えてしまうというパターンですね。ポテトを詰めるのが上手いクルーがやると、内部に適度に隙間ができるように盛るので、たくさん入っているように見えるんです。メニューの写真もそういうふうに上手に盛られているから、ヘタな人がやると同じ量なのに少なく見えてしまうってことはありますね」(同)

・「『ポテト揚げたて』『ポテト塩なし』を注文されると正直面倒くさい」

「ポテト揚げたて」や「ポテト塩なし」というオーダーは、マクドナルド全店で対応するというマニュアルになっているそうだが、店員としてはやはり面倒くさいのだろうか。

「大前提として、ほとんどの場合面倒くさいとは思わないですし、普通に淡々と対応しています。でも正直言うと、ピーク帯のめちゃくちゃ忙しいときに注文されると、ちょっとだけ面倒くさいなぁと思うことはあります(苦笑)。『揚げたて』はまだいいんですよ。ピーク帯のときは、ひっきりなしにポテトを揚げているから、そんなに手間じゃないんです。ただ『塩なし』はそのお客様のためだけに作らなくちゃいけないので……」(同)

・「会計終わった後に『このクーポン使えますか?』と言われたときは絶望する」

 注文が済み、会計も終わった後に、客が「あ、クーポンあったので使っていいですか?」と言い出すと、やはり面倒くさいのだろうか?

「確かに正直、面倒くさいなぁと思います(苦笑)。これもピーク帯ならなおのことですよね。ちなみに注文を全部打ち終わっていても、まだお金のやりとりをしていない段階なら、普通のクルーでもそのまま対応できるんです。POS(レジ)に入力したのを全部取り消して、クーポンで打ち直せばいいだけなので。ただ、お金の受け渡しが終わって、レシートが出てしまっている段階だと、マネジャーを呼んで対応を代わってもらう必要があるんですよ。だからせめて、クーポンはレシートが出る前に言ってもらいたいですね(笑)」(同)

内部のプライベート系

・「『サンキュー』が口癖になり、ついバイト以外でも言ってしまって恥をかく」

「サンキュー」とはマクドナルドの店員用語で、「ありがとう」以外にも「了解」といった意味があるため、店内で頻繁に飛び交っている言葉。そのため「サンキュー」癖がついてしまい、日常生活で一般の友達に向かってつい言ってしまうといったことはあるのだろうか。

「ほとんどないです(笑)。そもそも、今はそんなにクルー同士で『サンキュー』を言わなくなってるんですよね。だいぶ昔はカウンター担当が注文を受けて、そのオーダーを口頭でオペレーション担当に伝えていたんです。『ワンバーガー、プリーズ』(ハンバーガー1つ)とか、『ツーダブチ、プリーズ』(ダブルチーズバーガー2つ)とかをカウンターから伝えて、オペレーション担当が『サンキューです』(了解)と応えるなんてやりとりが頻繁にありました。でも今はPOSで受けた注文がそのままオペレーション側に自動で伝わるシステムなので、『サンキュー』を使う場面は激減しています。『○○お願いします』と伝えると、『はーい、わかりました』と『サンキュー』を使わずに返事するクルーも普通にいますしね」(同)

・「時給が高くもないのにマックバイトを長く続ける人はなぜか多い」

 マクドナルドは、その都道府県の最低時給に近い店舗がほとんどで、決して時給が高いとは言えないにもかかわらず、一度働き始めると何年も勤めるというアルバイトが多い印象だ。なぜなのだろうか。

「おっしゃるとおり、うちの店舗も東京都の最低時給で募集をかけていますけど、長く続けてくれるアルバイトさんは多いですね。高校生や大学生が、部活やサークルの仲間うちのノリで楽しみながら働けるっていうのはあるのかもしれません。ただ、当たり前ですけど、合わない人はすぐに辞めちゃうので、それはほかの飲食店と変わらないと思います。それに、ほかにもっと高い時給で働けるバイトがあるから、そもそも募集をかけても応募してくる人が少なくて、常に人手不足なんですよね。逆に考えると、マックでバイトを始める人は、時給が安くてもマックが好きで働きたいっていう理由で入ってくる人も少なくないので、長く続けてくれるのかもしれません」(同)

・「笑顔の接客を求められるマックバイトは陽キャしかなれない」

 マクドナルドの店員と言えば、ハキハキと明るいイメージがあるので、陽キャの人しかなれないのだろうか。それとも意外と陰キャの人も多いのだろうか。

「陽キャ・陰キャの定義が難しいんですけど、アルバイト面接で自然と笑顔が出なかったり、上手にコミュニケーションが取れなかったりすると、女性も男性も不採用になる可能性が高いと思います。やっぱりニコッと笑えないとカウンター担当は務まらないので。男性ならカウンターには立たずに裏で商品を作っているだけと思われるかもしれませんが、最初はオペレーション担当でも、ゆくゆくはカウンター担当もやってもらう前提で面接するので、やはり笑顔やコミュ力は重要。それと『マックデリバリー』の担当になれば、お客様の自宅まで一人でお届けすることになりますよね。マネジャーの目の届かないところで接客をすることになるので、やっぱりコミュ力がないと難しい。となると、陰キャでは務まらないかもしれませんね」(同)

・「バイト同士やバイトと社員など『マック内恋愛』が異様に多い」

 マクドナルドはアルバイト同士が彼氏彼女になったり、社員とバイトが付き合ってそのまま結婚したりという話をよく聞くが、店内恋愛は本当に多いのだろうか?

「もちろんクルー同士で付き合うっていうケースはありますけど、それはほかの飲食店でも同じだと思うし、そもそも職場恋愛があるのは飲食店に限った話でもないですよね。だからマックが飛び抜けて職場恋愛が多いとは思わないです。あ、でも私がまだアルバイトだった昔は、マック内恋愛は確かに多かった気もします。アルバイトの高校生とか大学生のなかで、誰と誰が付き合って、別れて、また別の誰かと付き合って……という話は、しょっちゅうありましたね。最近はそういう話はかなり減っている印象です。でもこれもマクドナルドに限った話ではなくて、今の若い人たちは全体的にドライで恋愛の優先順位が下がっているからなんじゃないですかね」(同)

 もちろん店舗によって内部事情やローカルルールが変わるだろうし、Aさんの店舗はフランチャイズ店とのことなので、直営店とはまた少々異なるのかもしれない。そのため今回紹介した内容がマクドナルドの全店舗、全店員に当てはまるわけではないということはご理解いただきたい。

(取材・文=A4studio)

A4studio

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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