ボリュームが多くて食べ応えがあるものの他のハンバーガーチェーンと比較して価格が割高というイメージが強かったバーガーキング。最近ではマクドナルドの同類メニューより安価かつ量が多いケースが増えているとして一部で話題を呼んでいる。バーガーキングは「打倒マクドナルド」に向けて大胆な方針路線に打って出るのか――。バーガーキングに聞いた。
原材料価格やエネルギーコストの上昇を受け外食チェーン各社が値上げを行うなか、マクドナルドもこの1年半で計4回の値上げを実施。今年1月の一律値上げでは、「ハンバーガー」は150円(消費税込み/一部店舗では異なる/以下同)から170円に、「チーズバーガー」は180円から200円に、「マックフライポテト(Sサイズ)」は160円から190円に、「チキンマックナゲット(5ピース)は200円から240円に価格改定。そして6月には、7月19日から東京・名古屋・大阪エリアを中心とした都心部184店舗とデリバリーにおいて値上げをすると発表。「ビッグマック」は通常450円のところ、都心店では最大50円の値上げで500円、準都心店では最大20円値上げて470円に。「サムライマック」は最大60円、「ダブルチーズバーガー」「てりやきマックバーガー」「フィレオフィッシュ」などは最大40円(準都心店は10~20円)の値上げとなる。
一方、バーガーキングも3月に一部商品について2~25%の値上げを実施。「ワッパー」は570円から590円に、「ワッパーJr.」は390円から400円に、「フレンチフライ」Mサイズは300円から320円に、「ドリンク」Mサイズは260円から280円に改定された。
両社ともに値上げに動くなか、一部メニューではマクドナルドよりバーガーキングのほうが「お得」なケースも出始めている。例えば、マクドナルドで「ベーコンレタスバーガー」(370kcal)を2個注文すると760円で合計エネルギー量は740kcalだが、バーガーキングが7月6日まで実施していた「2コ得」キャンペーンで「ワッパーチーズJr.」(448kcal)と「スモーキーBBQワッパーJr.」(410kcal)を選択すると500円で合計858kcalとなり、エネルギー量はマクドナルドを超えながらも価格は安くなる。また、マクドナルドのバリューセット「ベーコンレタスバーガーセット」は「ベーコンレタスバーガー」と「マックフライポテト Mサイズ」、ドリンク類Mサイズで680円だが、バーガーキングの「ワッパーjr.セット」は「ワッパーjr.」(409kcal)、「フレンチフライ Mサイズ」、ドリンク類Mサイズで600円となっている。
ちなみにマクドナルドで「マックフライポテト Mサイズ」と「チキンマックナゲット 5ピース」「コカ・コーラ Mサイズ」を注文すると810円だが、前出「2コ得」でセットを選択するとバーガー類2個に「フレンチフライ Mサイズ」とドリンク類Mサイズが付いて800円となっており、バーガーキングのお得度がわかる。
マクドナルドを「イジる」広告手法
「確かにバーガーキングのワッパー類は比較的高単価といえるが、バーガー類は『スモーキーテリヤキバーガー』は350円で、マクドナルドの『てりやきマックバーガー』(370円)より安く、『フレンチフライ Mサイズ』は320円でマクドナルドの『マックフライポテト Mサイズ』(330円)より安い。同類の単品メニューで比較すると、価格差的にはほとんど差はないといっていい。また、バーガーキングのキャンペーンやクーポンをうまく利用すれば、マクドナルドよりお得になる機会は結構多いだろう。固定ファンの間からは『やっと世間がバーガーキングの良さに気づき始めた』『ついにバーガーキングの時代到来』という声も聞かれるようになった」(外食業界関係者)
また、商品のクオリティという面でもバーガーキングの評判は良い。
「相対的な価格妥当性は、バーガーキングの商品はマクドナルドに比べて高い印象を受けます。ワッパーJr.を実食しましたが、具材の多さを感じました。咀嚼していて楽しいです。マクドナルドは全体的に質が下がった印象を受けました。基本のハンバーガーはバンズのパサパサ感が強く、パティは味を感じません。コスパ面でも、バーガーキングはセットやクーポンなどを活用すれば実売価格はお得になります。マクドナルドはクーポン類の割引額も下がり、消費者が感じるお得感はかなり下がっていると思います」(重盛高雄/フードアナリスト、6月25日付当サイト記事より)
ちなみにバーガーキングといえば、マクドナルドを「イジる」広告手法でも知られており、その存在を強く意識している様子がうかがえる。今年3月、東京・渋谷のマクドナルドの店内からしかはっきりと見えない大きな広告看板を、マクドナルド店舗の目の前に掲出。看板には「すぐそこ→」と数軒先のバーガーキングの店舗場所を指し示す記述がされていた。このほかにも20年には、東京・秋葉原にあったマクドナルドの店舗が閉店するに際し、付近のバーガーキングが「私たちの2軒隣のマクドナルドさんが今日で最終日を迎えます」「どうかみなさん、勝手なお願いですが、今日は彼のところに行ってください」「スマイルを込めて、お疲れさまでした」と書かれたポスターを掲出。一見すると「敵」を労っているかにみえるが、各行の先頭の文字を縦読みすると「私たちの勝チ」との文章が浮かび上がってくる仕掛けに。そして22年にマクドナルドが再び秋葉原に3フロアからなる大規模な店舗を出店すると、バーガーキングは同じく縦読みで「店のデカさよりもだいじなこと。」と書かれたポスターを拠出し、大きな話題となった。
積極的な新規出店を継続
ではバーガーキングは今後も低価格かつボリュームの多いメニューやキャンペーンの提供に力を入れていくのか。運営元のビーケージャパンホールディングスはいう。
<バーガーキングは、認知度がまだまだ低い状況です。お客さまに初回のご来店をいただくことを目的に、「2コ得」や「オールデイ・キング」をはじめとしたお得な価格設定のキャンペーンやメニューをご用意しております。「2コ得」は、バーガー単品2個を500円、フレンチフライ(M)とドリンク(M)が付いたボリューム満点の「2コ得(ニコトク)セット」を800円で提供するお得なキャンペーンです。定期的に期間限定で実施しています。バーガーキングを初めて知っていただき、初回のご来店をいただくきっかけとして実施しています。
「オールデイ・キング」は、曜日や時間帯を気にせず、朝昼夜、土日も、いつでも本格バーガーセットがお得にお買い求めいただける定番メニューです。対象のバーガーとフレンチフライ(M)、ドリンク(M)を毎日いつでも550円~お買い求めいただけます。初めてご来店いただくきっかけとして、またお客様により多くの回数ご来店いただきたくご用意しているお得なセットです。一度、バーガーキングの「直火焼き」の本格バーガーを食べていただければ、かならずファンになっていただけると自負しております>
バーガーキングの7月現在の店舗数は191であり、これは業界最大手マクドナルドの約16分の1の数字。「行きたいけど近くに店舗がない」という声も聞かれるが、バーガーキングの店舗数が増えていく見通しはあるのか。
<バーガーキングの国内店舗数は約4年間で114店舗増加、合計191店舗(※2023年7月5日時点)に拡大してきました。今後2025年に全国300店舗を目指し、引き続き積極的な新規出店を継続してまいります。しかしながら、お客様より全国各地への新規出店を希望する大変多くの声を日々いただいております。そこで、バーガーキングは、「店舗がない」とお声をいただくお店がないエリアの皆さんとも夏休みを楽しむため、この夏、フードトラックで全国各地をめぐる「KING on VACATION」企画をスタートすることといたしました。さらに、Twitterでフードトラックの出店場所を募集するキャンペーンも実施いたします。(7/12 23時59分まで)
詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000220.000038980.html >
(文=Business Journal編集部)