人それぞれに好き嫌いはあれど、日本のハンバーガー業界で最も幅を利かせている“与党”はどこかという話になれば、真っ先に名前が挙がるのはマクドナルドだろう。
マクドナルドは2014年7月に発覚した消費期限切れ鶏肉問題などの影響で、2015年12月期の連結売上高は対前年比-14.8%の1894億円と、大きく沈んでいた。
しかし、2018年12月期の連結売上高は対前年比+7.3%の2722億円と完全に持ち直しており、2019年通期の業績予想では、5510億円の売上高(直営店舗&フランチャイズ店舗の合計)を見込んでいる。この5510億円というのは、マクドナルドが2001年に上場してから過去最高となる数値で、それほどまでに絶好調だといえるわけだ。
他のハンバーガーチェーンだと、店舗数でマクドナルドの次点に来るのはモスバーガーで、“野党第一党”と呼べそうなのだが、こちらは昨年8月に8都県19店舗で食中毒事故を起こしてしまっている。ずっと“安心・安全”をウリにしてきたモスバーガーにとっては大打撃となり、深刻な客離れを招いたのはいうまでもない。
平成から令和の時代へと移り変わった今、ハンバーガー業界の勢力図は今後どうなっていくのだろうか。スリーウェルマネジメント代表で、飲食コンサルタントとして活躍する三ツ井創太郎氏に話を聞いた。
価格帯は似ていても、マックのほうがモスより見せ方が上手
最初のテーマは“与党”のマクドナルドと、“野党第一党”であるモスバーガーとの比較である。
「まずはじめに両店の店舗数を確認してみると、マクドナルドが全国に約2900店舗を展開しているのに対し、モスバーガーは約1300店舗ですので、業界第2位といえどもダブルスコア以上の差が開いています。この時点でマクドナルドは圧倒的なシェアを誇っているといえます。次にモスバーガーとの価格帯の違いを分析してみましょう。
サイドメニューを抜いてハンバーガーだけを見ますと、マクドナルド、モスバーガーともに300円台の商品が大半を占めています。一方で、マクドナルドにある『ハンバーガー』や『チキンクリスプ』『チーズバーガー』のような100円台の商品がモスバーガーにはありません。こうした商品ラインナップにより、マクドナルドのほうが顧客に“安さ”を感じさせる価格戦略となっています。