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マクドナルド・月見バーガー系、中身ほぼ同じのエグチの価格2倍でも売れる理由

文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表
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左がマクドナルドの「チーズ月見」、右が「エグチ」(撮影=江間正和)

 ハンバーガーチェーン、マクドナルドの毎年秋恒例の「月見ファミリー」が今年も期間限定で販売中だ。その看板メニューである「月見バーガー」にチーズをプラスした「チーズ月見」は450円(税込み、店舗によって異なる/以下同じ)だが、マクドナルドには同じくビーフパティ、エッグ、チーズを使用した「エグチ(エッグチーズバーガー)」がレギュラーメニューとして240円で販売されており、一部SNS上では「なぜ具材が同じなのに価格に2倍の開きがあるのか」「人はなぜ安いエッグチーズバーガーが一年中いつでもあるのに、秋になると倍の値段の月見バーガーを買うのか」などと話題を呼んでいる。これら2商品の違いは何なのか、また、エグチの2倍というチーズ月見の価格に妥当性はあるのかを、マクドナルドや専門家の見解を交えて検証したい。

 月見バーガーの歴史は古い。1991年に初登場して以降、毎年秋の季節に販売され、2019年からは「月を見る。心が上を向く。」というテーマで展開。今年は定番の月見バーガー、チーズ月見、朝マックの「月見マフィン」、「あんことおもちの月見パイ」に加え、新たに「七味香る牛すき月見」「月見 マックシェイク 長野県産シャインマスカット」、「チキンマックナゲット」のソース「柚子胡椒マヨソース」がラインナップされている。

 ちなみに月見バーガー同様にエッグを使用した期間限定メニューとしては、毎年春恒例の「てりたま」があるが、こちらはソースが「てりやきソース」でパティはポーク、月見バーガーには入っているベーコンは入っておらず、代わりにレタスが使用されている点が大きな違いだ。

マクドナルド「この季節にしか味わえない一品です」

 そんな月見ファミリーのなかでも人気メニューのチーズ月見は、月見バーガーにチェダーチーズを加えた一品。「クリーミーで濃厚なトマトクリーミーソースの絶妙な組み合わせ」(同社HPより)を味わうことができる。一方、マクドナルドといえば「エグチ」がレギュラーメニューとして通年で販売されており、ビーフパティにエッグ、チーズの組み合わせで240円というコスパの高さに定評があるが、一見すると具材が「ほぼ同じ」のチーズ月見が約2倍の価格で販売されていることに、SNS上では以下のようにさまざまな反応が寄せられているのだ。

<何がこんなに差があるか分からんけど全然違うんです>

<限定品に弱いんですよね>

<祭りで600円の焼きそば買う感じ>

<チーズ月見のつもりでエグチ食べたことありますけど、コレジャナイ感がすごいです やはりチーズ月見の方が抜群に美味しいです>

<月見大好きなんですけど、エグチはなんかパサパサしてる気がするんです。あれって何故なんでしょう?>

 また、店員経験者によるものと思われる投稿では、バンズがエグチのものとは異なり、さらにソースは専用のものを使用しているので、まったく別物だという意見もみられる。2商品の違いについてマクドナルドは当サイトの取材に対し、次のように説明する。

「マクドナルドでは常にお客様がマクドナルドに期待されているお得感と、需要のバランスを鑑みて、お客様にご満足いただけるバリューある商品と価格の検討を行っております。『エッグチーズバーガー』(エグチ)はボリュームがありながら、お得にまたお手軽にお召し上がりいただけるレギュラー商品『ちょいマック』の商品としてご提供させていただいております。一方、『チーズ月見』は秋だけの期間限定商品となっており、スモークベーコンと、クリーミーで濃厚なトマトクリーミーソースが絶妙にマッチした、この季節にしか味わえない一品です。価格は、原材料価格や人件費、物流費などを鑑み、慎重に検討を重ね、決定させていただいています」

期間限定商品は価格の縛りを緩めて高めのものを用意

 自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏はいう。

「実際に食べて比較してみましたが、『えっ?』と思うほど似ていました。『マクドナルドって、結構大胆だな』と思わず笑ってしまうほどでしたが、2商品の違いは以下の点です。

・ベーコンが入っているかどうか
・バンズ
・ソース

 しかし、普段のマクドナルドのキャンペーン商品・期間限定商品に比べて、チーズ月見のバンズのクオリティは低めで、食感、味わいともエグチのような通常の商品寄りだと感じました。ソースはオーロラソース系でおいしいのですが、そこまで特別なすごさは感じません」

 では、エグチの2倍という価格に妥当性があるといえるのか。

「飲食店のメニューは材料費、手間、共通食材とイレギュラー食材の違い(仕入れロットによって仕入れ値も変わる)などによって価格が違ってきますが、チーズ月見とエグチはほとんどが共通食材で、仕入れや手間に大差はなく、厳密に検証するほど『2倍の差はないだろう』という考えに至ります。

 となると、厳密に検証した結果ではないところに答えはありそうです。材料やオペレーションではないところ、つまり感覚の部分です。人は『期間限定』に弱くて、『お祭り感覚』でコスト感覚が薄れます。また『オススメ』的なキャッチコピーを見ると『これでいいか』とその商品に流れたりします。日頃からマクドナルドを利用していない人であれば、エグチの存在を知らない可能性もあります。

 エグチやスパチキ、スパビー、チキチー、チキンクリスプのような200円前後の商品には根強いファンもいることでしょう。小腹が減った際のおやつ代わりにもいいですし、2個食べると結構お腹も膨れます。人気があるゆえに定番メニューから外されずに根強く残っていて、価格をそうそう上げられません。マックもこれらの商品については価格を維持することを意識していると思います。メニュー表の下のほうに並ぶこれらの商品は、コスパ的にお客さん寄りの商品ともいえるでしょう。

 逆にキャンペーン商品・期間限定商品は価格の縛りを緩めて高めのものを用意しています。季節ごとの提案によって、メニューのマンネリ化防止にもなりますし、客単価アップの優良商品にもなります。ですのでボリュームや価格を優先する人は、エグチのような200円台の定番商品を選ぶほうがお得といえるでしょう。少しでもおいしいものを食べたいという人や、季節感を味わいたい人はキャンペーン商品・期間限定商品を選ぶのがいいでしょう。お店としては選択肢を用意しているので、最後はお客さまの気分次第ではないでしょうか」

(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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