金融庁は24日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行と証券会社2社が顧客の非公開情報をグループ内で違法に共有していたとして、3社に対し金融商品取引法に基づく業務改善命令を出した。経営陣を含め責任の所在を明確にするよう求めたほか、再発防止のための法令順守体制強化などを盛り込んだ改善計画を7月24日までに提出するよう命じた。
MUFGと三菱UFJ銀には経営管理体制が不十分だったとして、銀行法に基づく報告徴求命令を出した。原因分析と改善策の報告を求めた。
改善命令を受けたのは三菱UFJ銀、三菱UFJモルガン・スタンレーむfgの3社。証券取引等監視委員会が14日、3社に行政処分を科すよう金融庁に勧告していた。
金商法は、グループ内の銀行と証券会社の間で顧客企業の同意なく非公開情報を共有することを禁止するファイアウオール規制を定めている。三菱UFJ銀と2証券では2021~23年、顧客企業に無断で株式売り出しに関する非公開情報を共有するなどしていた事案が少なくとも10件あり、三菱UFJ銀の専務執行役員(当時)による不適切な情報提供の可能性を同行の代表取締役(同)が認識していた例も見つかった。
三菱UFJ銀は、銀行の有価証券関連業務が禁じられているのに、顧客企業の社債発行に絡み、三菱UFJモルガン証を引受先とするよう働き掛けていた。このような事案は少なくとも28件あった。
MUFGと三菱UFJ銀、三菱UFJモルガン証は24日、3社連名で謝罪の談話を発表。モニタリング体制強化などを通じ、「再発防止のためのより実効性を高めた方策を策定していく」との方針を示した。
鈴木俊一金融相は同日、記者団の取材に応じ、「こうした事態が二度と発生することがないよう抜本的な改善対応に取り組んでもらいたい」と述べた。
◇金融庁による処分のポイント
一、三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券は顧客企業の同意なく違法に情報共有
一、3社に対し金融商品取引法に基づき業務改善命令
一、経営陣を含む責任の所在の明確化、経営管理体制や法令順守体制の強化などを盛り込んだ改善計画を7月24日までに提出するよう命令
一、三菱UFJフィナンシャル・グループと三菱UFJ銀には銀行法に基づき報告徴求命令
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/06/24-18:13)