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ブックオフ、杜撰な在庫・会計管理は解決が困難、元店員が告白…組織的不正か

文=Business Journal編集部
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ブックオフの店舗(「Wikipedia」より)

 複数のブックオフ店舗で、従業員による不正行為が発覚した。ずさんすぎる経理処理が背景にあるとみられ、余波は大きく広がる可能性がある。専門家は、「根本的な解決は難しいのではないか」との見方を示す。

 中古本・中古家電などの買取・販売を行うチェーン「ブックオフ」を展開するブックオフホールディングスは6月25日、子会社が運営する複数の店舗で従業員が架空買い取りや在庫の不適切計上をするなど、現金を不正取得していた疑いが発覚したと発表。弁護士など外部の専門家による調査委員会を設置し、事実関係の調査や再発防止策の検討を行う。なお、調査のため、7月16日に予定していた2024年5月期決算の公表を延期するという。

 この問題に対し、流通の専門家は「まだ調査中のため詳細は不明だが、架空取引は業界全体でよくみられる」と警鐘を鳴らす。

「おそらく、ブックオフで行われた手法は、過去の取引情報に基づいて、実際にはお客が来ていないのに、お客から本を買い取ったように偽装して、買い取り代金を着服するといった手口です。ほかにも、買い取り代金を実際より水増しして帳簿に記録したり、無料で引き取った品物を、買い取ったように偽装するといったことも考えられます。

 これらの不正会計は、古物商業界では古くからあるのですが、昨今ではPOSシステムの導入などで帳簿が電子化されたことで減ったと思われていました。しかし、架空取引が横行していたということは、ブックオフのシステムに致命的な問題があるといえるでしょう」

 古物商は、盗品や詐欺被害品などの流通を防ぐため、「取引相手の確認義務」「不正品の申告義務」「帳簿等への記録義務」という防犯三大義務がある。一部の例外はあるが、基本的に相手の身分を確認し、取引内容を古物台帳に記録する。そして、不正品があれば警察に通報するというものである。

 古物台帳に記録する内容は、以下の6つ。

古物の取引年月日
取引区分(買取、販売、交換など取引の業態)
品目と特徴
数量
代価
個人情報(住所、氏名、職業、年齢、個人情報の確認方法も)

架空取引を見破れない理由

  このように、取引があれば詳細なデータが残るが、膨大な数の取引をすべて裏付け確認することは事実上不可能だ。そのため、過去に得た個人情報に基づいて、さも取引があったかのように装い、現金を着服することがあれば、会社側が把握することは困難といえる。

「買い取った品物をすべてデータベース化していれば、在庫を確認することで架空取引はある程度わかるはずですが、ブックオフでは『在庫情報を一元管理(データベース化)していない』と公式サイトで発表しているので、在庫管理や会計管理はずさんだった可能性が高いです。

 ちなみに、本・CD・DVD・ゲームに関しては在庫情報がデータベース化されていますが、ある従業員に話を聞くと、『買い取った本をすぐに廃棄処分とすることで損金を計上することはよくある』と話しており、実際に買い取っていなくても、『買い取ってから廃棄処分した』と報告すれば、架空取引はまず見破れないでしょう」(同)

 実際にブックオフでアルバイトをした経験があるという方に話を聞くと、在庫管理の雑さが浮き彫りになる。

「D本(廃棄予定の本)に関しては管理が雑でした。修復作業をしても売り物になりそうもない欠陥(破れやページ欠落など)があれば、買い取った後でもD扱いにすることもよくあるので、買い取った本が見つからなくても深刻にとらえることはありません。廃棄だけでなく、万引きや事故(在庫が廃棄に混ざるなど)等によって在庫が合わないこともよくあるので、棚卸などでも数の確認はそれほどシビアに行いません」

 架空取引が簡単だとしても、アルバイト従業員などが個人で行うのはハードルが高いのではないだろうか。前出の専門家は、ある程度の組織的不正の可能性を指摘する。

「架空取引を計上するためには、ある程度、内部に精通していなければなりません。取引を記録して出金するという流れには、複数人が関与するか、一定の権限を持った管理者が関与していると考えられます。しかも、複数の店舗で行われているという状況からも、多くのスタッフ間で情報が共有されていた可能性もあります。そうすると、根本的な解決は難しいといえるでしょう」

 2018年頃には経営危機に陥り、閉店が続出していたが、2019年に古本需要の増加などを受けてV字回復。最近も好調を維持していただけに、この不正がブックオフの経営に影を落とさないか気になるところだ。

(文=Business Journal編集部)

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