SNS上で、「ジモティーに自分の資産が無断掲載されている」という驚きの告発がある。だが、不動産の関係者は、「不動産サイトでは物件が無断掲載されている例は珍しくない」と言う。一方でジモティーに聞くと、このような無断投稿は容認できず、厳正に対処するとしている。不動産の無断掲載は、なぜ行われているのだろうか。
「地元の掲示板 ジモティー」は、比較的狭い地域で、地元民を対象にして不用品譲渡情報を中心に、利用者が自ら書き込む形で取引相手などを探す、インターネット上の掲示板だ。不用品譲渡「売ります・あげます」のみならず、人手を借りたい際には「助け合い」、サークルやバンドなどの「メンバー募集」、アイドルの推し活仲間などを募集する「友達募集」といった人と人の“出会い”の場にもなっている。なかには社員やアルバイトを募集するカテゴリもあり、掲載される情報は多岐にわたる。
不用品譲渡については、もともとは片付けなどの際に出てきた不用品や、処分に困っている大型家具などの譲渡・売却の申し出が多かったが、犬や猫などのペットの譲渡のほか、中古車や不動産といった大型資産の販売情報も掲載されるようになった。
そんななか、SNS上に「自分の所有する不動産が、ジモティーに勝手に掲載されている」との投稿があり、物議を醸している。投稿者によると、売却するために他の不動産情報サイトに掲載している不動産で、その情報をジモティーに無断転載しているという。
そこでBusiness Journal編集部はジモティー広報部に、事実関係を確認するとともに、このような無断転載はほかにもあるのか、マナー違反の投稿者にはどのようなペナルティがあるのか、話を聞いた。
「今回の事象については弊社でも把握しており、当該投稿については既に削除されていることを確認しています。
このような状況を把握した場合、掲載者に対し事実確認を行ったうえで当該投稿の削除を行います。
また、そのユーザーの利用状況を確認したうえで社内規定に則り、利用制限やアカウント停止などのペナルティを課す場合がございます。
なお、現在ジモティーでは不動産カテゴリに情報掲載する方に対して法人格を証明する書類や宅建資格の提出を求めております。該当の投稿者は宅建資格、法人格を書類で確認済みであり、資格者による違法性のある取引がありえることも踏まえて、より取引の注意を啓発していきたいと考えております」(ジモティー広報部)
他人の不動産情報を勝手に掲載する目的
今回の問題についてジモティーは迅速に対処しており、投稿はすぐに削除されたという。では、そもそもなぜ不動産を無断投稿しているのだろうか。取引を仲介ですることができない情報を掲載するのは、一種の詐欺ではないのか。不動産仲介を行う業界関係者に話を聞いた。
「ジモティーではあまり見かけませんが、実は不動産情報サイトでは珍しくないんです。結構大手のサイトでも、売主の承諾を得ずに不動産情報を勝手に掲載している例はよくあります。これは、他人の不動産を勝手に売却するような詐欺ではなく、いわゆる“釣り情報”として使っています。自社で媒介・仲介契約をしていない物件についても幅広く情報を載せ、不動産の購入の検討をしている方の目に留まりやすくしようとしているのです。
実際に問い合わせがあった場合には、『その物件はもう売れてしまいました』『実はもっとオトクな物件があります』などと語り、自社を契約している物件を勧めます。そのためのオトリ広告のような使い方ですね。今回、ジモティーに無断転載していた業者も、ほかの不動産サイトに掲載されていた物件を『良さそうな物件だったから』という理由で勝手に掲載していたようです。おそらく、上記のようなオトリ広告として使おうとしたのだと思います。
本来、不動産情報をネット上に掲載する際には、売主か媒介契約を結んでいる不動産会社のいずれかに許可を取ってから掲載するという流れが必須です。それを無視している業者は信頼できないですね」
ジモティーをめぐっては、「品物を送ったのに代金を支払ってもらえない」「売買が成立した後に、難癖をつけて返金を求められた」「ブランド品を購入したが偽物だった」など、トラブルが絶えない。そのような場合、基本的には当事者同士での話し合いで解決が求められており、解決しない場合には運営に相談することができる。とはいえ、個人間での交渉や取引が基本となるため、トラブルを完全になくすことは難しい。頻繁に利用しているユーザーに話を聞くと、「取引後に相手を評価するシステムがあるので、過去の取引で高い評価がある人としか取引しないようにしている」とトラブル回避術を語る。また、「プロフィールを詳細に書いているかどうかも重要」という。
フリーマーケットのような使い方をしている方も多いと思うが、売買をする際には少額であっても“取引”であることを意識して、相手の素性も確認することがトラブルを避けるうえでは重要のようだ。
(文=Business Journal編集部)