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農業と地域から生まれる再エネの“持続可能なかたち”。──千葉エコ・エネルギーが描く、エネルギーの地産地消

2026.01.20 2026.01.20 06:52 企業

農業と地域から生まれる再エネの持続可能なかたち。──千葉エコ・エネルギーが描く、エネルギーの地産地消の画像1

再生可能エネルギーの導入は着実に進みつつあります。しかし、その恩恵を「地域の豊かさ」として実感できている場所は、決して多くありません。

自然資本は地方にあるにもかかわらず、エネルギーも、お金も、人も、都市へと流れていく。そうした構造的な課題に真正面から向き合ってきたのが、千葉大学発スタートアップの千葉エコ・エネルギー株式会社です。

同社が選んだのは、「農業×再エネ」という一見遠回りにも見える道でした。発電事業者として外から関わるのではなく、自ら農業法人を立ち上げ、現場の当事者として課題に入り込む。その姿勢は、エネルギー事業の枠を超え、地域産業のあり方そのものを改めて問い直すものでもあります。

今回は、レジル株式会社の村田佑介氏、安藤圭祐氏との鼎談を通じ、当事者として農業に関わりながら、制度や政策にも働きかける千葉エコ・エネルギーの取り組み、そして地域産業が抱える課題について、同社 専務取締役の蘒𠩤(はぎわら)領氏に語っていただきました。

千葉エコ・エネルギーが「農業×再エネ」に挑む理由

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村田:千葉エコ・エネルギー株式会社を立ち上げた背景、そして「農業×再エネ」に取り組む理由を教えてください。

蘒𠩤:千葉エコ・エネルギーの創業は、東日本大震災をきっかけに日本のエネルギー政策が大きく揺れ動いたことが背景になっています。

代表取締役の馬上は環境政策を中心に研究しており、私は千葉大学在学時代に環境工学を学んだのちに、ニュースメディアにて原子力政策などをトピックに発信していました。震災後に再会した際、お互いに変わりゆくエネルギー分野に対して関心・課題を感じていたことから、千葉エコ・エネルギーの設立の構想に至りました。

千葉大学発のスタートアップとあって、当初はM&Aや投資実行前の企業調査を行うお仕事をいただくことが多かったのですが、当時の再エネの分野では、投資効率を重視するあまり、地域や自然への配慮、倫理観が欠けた無秩序な開発が進んでいました。特に、地方が持つ自然資本が、地域に還元されないまま地域外の資本に吸い上げられていく構造には、強い違和感を抱きました。

村田:再エネに農業を掛け合わせて事業に取り組んでいる理由はなんでしょうか?

蘒𠩤:地方と向き合ううち、「農業しか産業がない」という苦しい声に直面したためですね。唯一の産業である農業でさえも、農業従事者の高齢化や担い手不足など課題が山積している状態です。エネルギーの分野で農業を支援する方法はないかと模索した結果たどり着いたのが、農地を活用して発電を行う「営農型太陽光」でした。

我々は2016年に営農型太陽光の発電所を設置したのですが、さらに“エネルギーの専門家としてだけではなく、自分たちも農業の当事者になる”ため、2018年に農業法人を設立しています。自分たちが当事者として農業分野に携わったことで、より課題に対する解像度が明確になっていきました。

なぜ営農型太陽光なのか。農業の現場に立つという決断

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村田:具体的に、地方の農業やエネルギー環境にはどのような課題が存在しているのでしょうか?

蘒𠩤:まず、エネルギー環境に関しては、自然由来の資源を活用しきれていないことです。

地方には、太陽光や風力など、自然由来のエネルギー資本が豊富な土地が多く存在しているにもかかわらず、それを有効活用できていません。

農業分野に関しては、「参入障壁の高さ」や「農地管理の負担」があります。農業従事者の高齢化が進み、担い手が不足している上、農業は新規就農の障壁が高い産業です。例えば、農機やビニールハウスなど、農業に関わる設備が非常に高額である点です。代々の農家などでない場合、設備投資のために借金を抱えた状態でスタートすることになります。

また、もし農業を辞めたとしても農地は残ります。雑草の管理などは継続しなければならないため、「農地を持っているだけで負担」という状態になってしまうのです。農地の種類にもよりますが、農地保護の観点から、第1種農地はほかの用途に転用するのが非常に難しいことも、この課題の一因になっています。

村田:千葉エコ・エネルギーではこういった課題へのアプローチとして営農型太陽光を掲げているのですね。この営農型太陽光がどのようなものか教えてください。

蘒𠩤:営農型太陽光は、農地に太陽光パネルを設置し、農業と発電を同時に行うというものです。

安藤:通常は農業は農業法人が行い、太陽光パネルでの発電は発電事業者が担っているというケースがほとんどですね。

蘒𠩤:海外では農業法人が発電を行うケースもあるのですが、日本ではFIT制度(固定価格買取制度)が先行して普及したため、発電事業と農業が別ものとして捉えられている部分があるためです。

安藤:農業法人と発電事業者間の契約形態も複雑です。代表的なものを挙げると、発電事業者と農業法人との契約の一つにパネルを設置する杭を打つ部分の土地賃貸借権とパネル上空の地上権がありますが、通常の野だて太陽光の場合は土地賃貸借権だけで済むため、土地の契約1つをとっても複雑になります。

蘒𠩤:農業を辞め、農地管理の負担のみが残ってしまっている場合、ほとんど無料で発電事業者に対して土地を貸し出しているケースもあると耳にします。草刈りなどの管理を担ってくれるだけでもありがたいのです。先ほど、第1種農地は転用が難しいと話しましたが、第1種農地を農地として活用しつつ発電事業にも活用できるのが営農型太陽光なのです。

村田:たしかに、営農型太陽光は先ほど話されていた課題に対して有効な手段のように感じます。

蘒𠩤:そうですね。たとえば営農型太陽光を導入し、農業以外の部分で一定の所得が確保できる状態の施設を貸し出すなどすれば、新規就農のハードルも下げられるかもしれません。

先ほど触れた自然エネルギー資本の活用という点でも、営農型太陽光などを通じて、その地域が持つエネルギー資本を最大限に引き出すことが重要です。その結果、その土地で使えるエネルギー量を今の2〜3倍に増やし活用することで新たな収益源を生み出す可能性が見えてくれば、農業の自動化や効率化の投資原資として活用し、一層の農業DX化を進められる可能性も出てきます。このように、エネルギーをその土地で“最大限生み出し活用”することが、地方の産業を強くする要因になるのではないでしょうか。

エネルギー資本の活用ができれば、現在は都心部に流れてしまっている人や金融資本を呼び込めるかもしれません。営農型太陽光はその先駆けになってくれる可能性を秘めていると感じています。

エビデンスと当事者性で、制度に向き合う

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村田:安藤さんは、営農型太陽光や千葉エコ・エネルギーの取り組みを耳にした際、どのような印象を持ちましたか?

安藤:地方において再エネをビジネスとして成り立たせるための、非常に有効な取り組みだと感じました。地産地消という視点は重要ではありますが、エネルギーの需要はやはり都心部に集中しています。

第7次エネルギー基本計画のもと、日本では再エネの割合を増やそうとしていますが、すでに都心部やその郊外では適正な太陽光の用地は開発し尽くされている状態です。今後、さらなる太陽光の活用に向けて、地域の課題である耕作放棄地問題を解決しつつ進められる営農型太陽光は新たなビジネスとしての可能性を秘めていると思います。

村田:蘒𠩤さんご自身は、千葉エコ・エネルギーの強みはどのような部分にあると感じていますか?

蘒𠩤:大学発のスタートアップであることを強みとして、エビデンスを持って発信することを大切にしている点でしょうか。再エネなどのトピックは、場合によっては感情に寄った議論になってしまうことがあります。我々は、学会での発表や勉強会などでも、エビデンスをもとにお伝えしています。

また、実際に農業法人を持ち、当事者として発信ができることも強みですね。たとえば、自治体や官公庁への政策的な提言を行う場合などでも、ただデータをエビデンスとして見せるだけでなく、当事者として得た情報もエビデンスとしながら提言できます。

こうした取り組みが評価され、2023年には内閣府の「国土強靱化 対策事例集」にも掲載されています。

農業とエネルギーを永続させるために

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村田:最後に、農業やエネルギー分野における千葉エコ・エネルギーの今後の展望について教えてください。

蘒𠩤:農業従事者は、徐々に減少していますが、私は必ずしもこの現象をネガティブには捉えていません。農業従事者が減るというのは、社会全体が豊かになってきた証でもあります。

一方で、作物の生産量や生産効率は維持しなければなりません。そのために不可欠なのが、テクノロジーの活用です。たとえば、農業を、農業機械を操るオペレーターが活躍する産業として再設計すれば、労働条件も他産業と擦りあっていくのではないかと思いますし、農業に興味のある方々が「農業に従事すること」を具体的な選択肢として検討することができます。

「農業者が減ること」そのものに危機感を抱くよりも、テクノロジーの力を使って、時代や環境にどう合わせていくかが重要だと考えています。しかし農業従事者の平均年齢が高く、新しい技術の受け手になりにくいことも事実です。

そこで我々が、大学発スタートアップという立場を活かし、さらに農業法人を立ち上げ、自分たちが“新たな取り組みの実験台”になることで、農業分野のリデザインをしていこうとしているのです。

その範囲は、エネルギーを掛け合わせた営農型太陽光などの事業に留まらず、農業における働き方の変革などにも広げていきます。常に現場で起きていることをエビデンスとして、現在の制度などに対して提言を続けていくことが、千葉エコ・エネルギーの政策系スタートアップとしての役割であると感じています。

 

農業と再生可能エネルギー。千葉エコ・エネルギーは、その二つを切り離さず、当事者として現場に立ちながら、エビデンスをもって制度や社会に問いかけを行っています。営農型太陽光を起点とした同社の取り組みは、単なる再エネ事業にとどまらない、地域産業の再設計といえるでしょう。

エネルギーの地産地消、そして地域でエネルギーをビジネスにできる形が当たり前になる未来に向けて、同社はこれからも、現場で得たエビデンスをもとに、地域と制度のあり方を問い続けていきます。

※本稿はPR記事です。

BusinessJournal編集部

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