いまや、グーグルやヤフー、NTTドコモといった大手企業に加え、無数のベンチャー企業が乱立し、ネットビジネスにおいて儲かる新分野などもはやないと思われている。ところが今、ネットビジネスのど真ん中にぽっかり大きく、将来有望な空地ができている。それも、一般的なスマートフォン(スマホ)ユーザーなら毎日、目にしている領域である。
そもそもインターネットへの接続は、いまやPCよりもモバイル端末からのほうが多いことがさまざまな調査結果で明らかになっており、日常生活でも実感できるだろう。
ではそのモバイル端末において、最もアクセスが多いコンテンツはなんだろうか。株式会社PR TIMESの5月9日付プレスリリース『スマートフォン利用行動1位は「ニュースを見る」こと。 ニュースジャンル1位「芸能・エンタメ」、見る時間1位「昼休み」』によれば、それはLINEやFacebookなどのSNSでも、ゲームや占いでもなく、ニュースだ。
これもスマホ・ユーザーなら納得できるだろう。駅のプラットフォームで数分電車を待つ間などにニュースをチェックする。一日に何回もチェックしているし、一度ニュースアプリをチェックすると、そのたびにいくつかのページを閲覧する。
●勝者不在
では、そんなニュースサイト、ニュースアプリの勝者はどこだろうか? 米国では、FacebookがPaperの提供を開始し、技術的な評判は良かったものの、いまひとつ伸び悩んでいる。日本では、Yahoo!ニュース、スマホ向けに特化したSmartNews、Gunosy、LINE NEWS、マガジンと自称するAntennaなどが競っているが、日米ともにユーザーの圧倒的支持を受けているアプリはいまだない草創期である。
さらに、収益化となるとまだこれからだ。Gunosyは広告収入モデルを導入しているが、それほどの売り上げではない。SmartNewsにいたっては300万ダウンロードといわれるほどヒットしているが、売り上げはほぼゼロである。つまり、日本でも米国でも、まだ圧倒的なユーザー数を誇るプレイヤーはおらず、さらにユーザーの高い利用度にふさわしい収益を得ていない。覇者不在の大きな成長領域なのだ。
ネット業界のカリスマアナリスト、メアリー・ミーカーの2014年のレポート『INTERNET TRENDS 2014 CODE CONFERENCE』でも、消費者は、モバイル上で20%の時間を過ごしているのにもかかわらず、広告費は全体の4%で、モバイル広告費の総和が上昇する余地が大きいと指摘している。そのモバイルで一番アクセスの多いニュースの分野で、広告売り上げが今のところまだほとんどあがっていない。