ロボットは次世代産業として期待されている分野であり、米IT(情報技術)大手の参入が相次いでいる。そんな中、常に時代の先端を走ってきたソニーにロボット製品がないことが、創造性を失ったソニーを象徴しているとして、同紙は取り上げたのだ。
ソフトバンクは会話ができるヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」を開発した。ペッパーは人間の表情や声の調子から感情を推測する機能を搭載、相手の感情に即したおしゃべりをしたり、身ぶり手ぶりをしたりする。相手が大喜びするなど反応が大きかった会話や動作はインターネット経由で記録され、次の行動に生かす学習機能を備えている。高さ120cm、重さ28kgで、二足歩行ではなく車輪で移動。まず携帯電話販売店に設置して接客に利用し、2015年2月に一般向けに発売する。本体価格は19万8000円(税別)。
ソフトバンクは10年、高度な人工知能(AI)を持つ「脳型コンピュータ」を搭載したロボットを実用化する構想を明らかにしていた。その一環として12年にヒト型ロボット「NAO(ナオ)」を開発した仏ベンチャー、アルデバラン・ロボティクス社に出資した。ロボット事業に本格参入する第1号のペッパーはソフトバンクの自社開発で、生産を電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループに委託する。
ソフトバンクの孫正義社長はペッパーを公開する会見で「人を喜ばせるだけでなく、将来は自分の意思で災害救助などもできるようにしたい」と語っている。鴻海の郭台銘・董事長は東京都内で開かれたその会見場に駆けつけ、ペッパーの製造を請け負うことを表明した。
米IT業界ではグーグルが日本企業を含む複数のロボット関連ベンチャーを相次ぎ買収して、事業化に意欲を示している。4月24日、来日したオバマ米大統領がホンダの「ASIMO(アシモ)」とサッカーに興じた後で、米グーグルが買収した東京大学発ベンチャー企業、SCHAFT(シャフト)を視察し、ヒト型ロボットの開発者に性能や将来展望を熱心に質問していた。シャフトは東大工学部ロボット研究室の卒業生らが米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が開催する災害救援ロボット競技会に参加するため、12年5月に設立したベンチャー。16チームが参加した13年12月の予選で、シャフトのロボットがガレキ除去やはしご登りなど全8種目で高得点を記録、他を大きく引き離して1位となった。
米大統領が熱い視線を送るのは、日本が世界一のロボット大国だからだ。ロボットは日本が世界に誇れる最後の砦ともいわれている。産業用ロボットは日本では1960年代が黎明期で、70年代の実用化を経て、80年が普及元年だった。その後、急速に導入が進み、いまや日本は産業用ロボットの発祥の地である米国を抜いて世界一となった。