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営業のリクルート、なぜ弱体化?顧客が競合他社に流出、競合からもライバル視されず?

文=編集部

営業のリクルート、なぜ弱体化?顧客が競合他社に流出、競合からもライバル視されず?の画像1「ホットペッパーグルメ HP」より
「住まい、生活、結婚、就職、進学……。“ライフスタイルのすべてをリクルートで”というのが今のリクルートホールディングス(以下、リクルート)の方針です。グループ関連会社すべてで使える『リクルートポイント』を、三菱商事の子会社であるロイヤリティマーケティングが運営する共通ポイント『Ponta』と連携するなど、今後もさらに強化する予定なので、この傾向はより強くなると思います」

 リクルートの子会社で日常消費に関する事業を行うリクルートライフスタイルで、飲食店情報サイト「ホットペッパーグルメ」大阪エリアの営業を担当しているA氏(仮名)は、自社の方針に疑問を感じているという。

 リクルートは2012年10月に分社化し、今年の10月をメドに東京証券取引所第1部に株式上場する見通しで、世間の注目を集めているが、現場の最前線で働く社員は変革期を迎えた現状をどう捉えているのだろうか? 競合他社、クライアントの声と重ねて検証してみたい。

多額の投資、効果に疑問も

「上から現場に降りてくる情報は非常に限られています。現場主義のリクルートの文化なのでしょうが、“必要な情報は自分の足で稼げ”という方針です。リクルートライフスタイルのみならずグループ他社も含め、営業の大半は3年半の期限付き契約社員。その中で、契約終了後に正社員となれるのは全体の2割程度です。社員たちは皆、自分たちで投資家向け広報(IR)などを見て会社の状況を調べたりしています」(A氏)

 13年の11月には、「ぐるなび」(ぐるなび)や「食べログ」(カカクコム)などの競合他社との差別化を図るために、全国の「ホットペッパーグルメ」の有料掲載店舗すべてに、タブレット型コンピュータ・iPad Air(本体価格・約6万円)の提供と、2年間の通信費をすべてリクルートライフスタイルが受け持つという破格の“プレゼント”があった。1店舗当たりのコストは、本体価格と2年間の通信費合わせて約15万円。大阪だけでおよそ1400店舗の有料掲載店舗のうち、約1000店舗に上記の譲与が行われた。iPad Airのサポートスタッフという名目で、新しい人材を招き入れたこともあり、全国での投資規模は20億円を超えるという。

 掲載店舗に対してリクルートが提供するレジシステムアプリ「Airレジ」を導入してもらうため、という目的があるにしても、費用対効果には疑問があるとの意見もある。

小さくなった社員間格差、退社後のキャリア形成

 リクルートの営業といえば、インセンティブ【編註:成果報酬】の割合が大きいというイメージが強い。一昔前は“伝説の営業マン”と呼ばれたスーパー社員が、年収数千万円となるほどインセンティブで稼いでいた時代もあったといわれているが、今ではそんなインセンティブを稼ぐことはなくなったようだ。

「クライアントからもよく『インセンティブで稼いでいるんだろ?』と聞かれますが、実際は競合他社と比べてもインセンティブの額は大きくないです。むしろ、広告を出す飲食店が減り、成果を上げにくくなっています。例えば無料情報誌の『ホットペッパー』でも、広告を掲載している店のほとんどはビューティー関連ばかりになっています。去年から、飲食店の広告枠に1カ月3万円の『8分の1』スペースを新設し、従来の最小枠である『4分の1』スペースの1カ月約10万円から大幅にダウンさせたのですが、掲載店は増えません。東京、名古屋、大阪といった大都市以外の地方都市では、いまだに媒体の根強い影響力がありますが、それでも年々効力は弱まっているため、新規に広告を掲載する店を探すことは極めて難しくなってきています。このような状況ですので、社員間の営業成績で大きな差がつくことがなくなってきています。これはグループ各社で同じような傾向だと聞いています」(A氏)

 では、3年半の契約期間が満了し、社員になれなかった場合には、どのようなキャリアを歩むことになるのだろうか?

「大きく分けて3つあります。まずヤフー楽天などのインターネット関連の大手企業に就職するケース。次に退社後すぐに独立するケースも耳にします。最後に大阪で最も多いのが、同じくリクルートで働いて独立した先輩の下で働くという選択肢です。リクルートネットワークと呼んでも差し支えないような、ネットワークが数々あります。当然ですが、現場の社員は契約終了後のキャリアに敏感で、常に動向は探っていますね」

クライアント、競合他社から見たリクルート

 関西エリアで焼肉店を20店舗以上展開するチェーンのマネジャーは、リクルートの印象について、以前に比べ社員の質が下がっていると指摘する。

「5~6年前までのリクルートの営業担当は、『是非ウチに来てほしい』と思うような優秀な社員が多かったです。毎回打ち合わせの際に、こちらで得ることが難しい情報を提供してくれて、市場を知る上での1つの指標となっていました。しかし最近の営業マンは、かたくなにそういったサービスを拒みます。さらに、『ぐるなび』や『食べログ』などの競合他社が値下げや特別サービスといった柔軟な対応をしてくれるのに対して、『ホットペッパー』は新しいプランを続々登場させ、それに加入せざるを得ないようにするなど、より多くの費用をかけさせようとしてきます。それでも有益な情報が入るのであれば納得もできるのですが、それがないとすれば今後の掲載は見直す必要がありそうです」

 業界で「ホットペッパー」と並ぶ最大手の1つ「ぐるなび」の営業担当は、リクルートをどう見ているのだろうか?

 同じく大阪エリア担当のB氏によれば、競合という意識は年々薄れてきているという。

「まったく意識しない、といえば嘘になりますが、『ホットペッパー』が若い世代や女性に特化しているのに対して、『ぐるなび』は宴会にターゲットを絞っています。去年から大幅にページをリニューアルし、食材や産地にこだわった食文化の魅力を伝えることに重きを置くように方針を変更して以来、クライアントから他社と比較して何かを言われる、というケースは減ってきています」

 10月の上場に向け、カウントダウンが始まった感もあるが、独自の営業ノウハウを持ち、優秀なビジネスパーソンを数多く世に輩出してきたリクルートの体質は、少しずつだが目に見えるかたちで変わりつつあるのかもしれない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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