日本郵政G子会社、セクハラ被害者に「あなたの責任」、組織的隠蔽か 肉体関係を社内調査
●会社側の弁護士選定と、A氏への面談勧奨
その後、A氏はB氏から、会社対応としての回答準備は弁護士の指示を受けながら進めており、その弁護士と面談するように勧められた。
ちなみにその弁護士は、わいせつ被害に遭った女性を企業が逆に訴えるという「恫喝訴訟」ともとれる裁判戦略を主導するなど、悪評が高く市民団体から懲戒請求されている人物である。A氏は、同弁護士に関するインターネット上の情報をはじめ、裁判記録も調べた後、会社に対しその事実を摘示しつつ、当該弁護士を選定した理由について説明を求めた。
それに対する会社側の回答は以下のようなものであった。
・法律事務所の選定に際しては、専門分野、実績、これまでの対応等に照らして決定している
・A氏が指摘している情報はあくまでネット上のもので、真偽が定かでない
・会社からセカンドハラスメントを行ったとの認識はない
A氏は会社に対する不信を募らせ、現時点までにその弁護士との面談を行っていない。
●労災認定
本件は2014年5月に労働災害として認定された。A氏を担当する弁護士の迅速な対応も大きかった。
その後、A氏の弁護士から日本郵政に対して、「就業規則に基づき、セクハラ加害者に対してどういう調査をし、どういう処分をしたのか、あるいはしていないのか」について確認を入れた。回答期限は1週間と設定したが、返答が来たのは1カ月以上経過した7月に入ってからであった。弁護士宛てに送られてきた回答は次のような内容だ。
【弁護士から会社への確認点】
・聴取者に対し、A氏の被害申し出による事件であることを知らせていないのではないか
・A氏は複数の知人から「会社に事情聴取された」と聞いているが、会社は本件事情について、A氏の立場をわきまえず、片っぱしから社員に聞いて回ったのではないか
【日本郵政グループ子会社からの回答】
・聴取者に対し、A氏の申し出であることを知らせた上で実施した
・調査対象者は限定しており、事実に反する。A氏側の言いがかりだ
・A氏に根も葉もない虚言を言った「複数の知人」とは誰なのか、開示せよ
しかし、A氏が知る限り、会社はA氏の複数の知人に対して、「会社の正式な調査」と説明した上で、「あなた(被聴取者)とA氏との間に肉体関係があるのか」等と聞いて回っていた。またも会社は虚偽の説明を行ったわけである。
さらに問題なのは、会社は「会社内で起こったセクハラ」に関することではなく、事件とは関係のない「個人的、かつ性的な事実関係を、A氏本人に内密に聞いて回っていた」ことである。
こんな調査を実施すること自体がセクハラなのだが、同社は「正式な調査だと告げているから、セクハラではない」という反論までしている。
この会社側の回答に対し、A氏の弁護士は再度質問を投げた。