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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第30回

日本郵政G子会社、セクハラ被害者に「あなたの責任」、組織的隠蔽か 肉体関係を社内調査

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
日本郵政G子会社、セクハラ被害者に「あなたの責任」、組織的隠蔽か 肉体関係を社内調査の画像1日本郵政ビル(「Wikipedia」より/Rs1421)

 「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏側を知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない「あの企業の裏側」を暴きます。

 2007年の郵政民営化によって、日本郵政公社の業務は郵便局、郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4事業会社に移管した。郵便局はのちに郵便事業を吸収合併し、日本郵便と商号を変更した。これら各社は、日本郵政の100%子会社である。

 今回紹介する事件は、この日本郵政子会社の中の1社において起きた。

 具体的には、女性社員(以下、A氏)に対し、複数の男性社員が継続的かつ長期的にセクシャルハラスメントおよびモラルハラスメントを行っていたというものだが、その実態はもはやセクハラといった範疇を越え、「性犯罪と組織的隠蔽」である。

 被害を受けたA氏は次のように語る。

「今なお理不尽なハラスメントに苦しんでいる人たちが、精神疾患の労災の正しい知識を習得することによって、会社の非道な対応に対抗し、活躍できる環境を確保していくことを願うばかりです」

 A氏は、大手有名企業内で起きたとは信じられないような、ひどいセクハラとモラハラを受けた。しかし本記事内において、A氏が具体的にどのようなセクハラ被害に遭ったのかという詳述は避けることにしたい。理由は2つある。1つは、本記事で言及すれば、A氏やA氏の家族が二次被害を受ける可能性が高いこと。もう1つは、A氏が会社への復帰を視野に入れており、この段階で被害の詳細を公開すると、A氏の復帰を阻害する可能性があるからである。

 従って本記事の中心となるのは、「セクハラ被害者に対する会社側の対応として、特に常識を逸して劣悪なもの」「事実の存在が明らかなもの」のみである。しかし、それだけでも同社の闇の深さがうかがい知れるだろう。

●セクハラ被害発生

 A氏が中途採用として同社に入社した翌年初頭から、直属の上司を含む同社社員計6名がA氏に対し、数カ月にわたってセクハラおよびモラハラ行為を続けた。その結果、A氏は心身に不調を来し、当該行為について会社側に相談した。

 しかし、同社のコンプライアンス責任者から返ってきたのは、耳を疑うような言葉であった。

「お互いに結婚している身だから、どちらが悪いということはない」
「起きたことはすべてあなたが招いたことで、あなたの責任である」

 A氏が被害を会社側に訴えたことで、会社側は関係者を集め、事実確認の面談機会を複数回設けた。しかし、会社側は責任の所在を明らかにしようとせず、加害者側の言い分を鵜呑みにして波風を立てずに事態を収拾しようとした。そのためA氏は、会社に対する不信感を募らせていった。

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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