その結果、下請け企業の合計は全国で2万9315社、従業員数は135万3193人に上った。このうち一次下請けは4935社、二次下請けは2万4380社を数えた。トヨタグループのピラミッド構造の裾野の広さが、あらためて浮き彫りになった。
都道府県別ではグループ各社が本社を構える愛知県が5976社(構成比20.4%)でトップ。以下、東京都(5481社、同18.7%)、大阪府(3819社、同13.0%)と続いた。業種別を見ると、一次下請けでは自動車部品製造(221社、同4.5%)、二次下請けは産業用電気機器卸(964社、同4.0%)が多い。売上高規模は一次下請け、二次下請けともに「1億円以上10億円未満」が最も多く、合計で1万6062社(同54.8%)。「1億円未満」も4134社(同14.1%)あって、全体の約7割が年商10億円未満の中小企業だった。
リーマン・ショックでトヨタの業績が落ち込む前の07年度と13年度の売上高を比べたところ、07年度を下回る「減収」企業が1万4232社(同70.5%)に達した。一次下請けは2179社(同68.1%)、二次下請けは1万2053社(同71.0%)がリーマン・ショック前の水準を回復できていないことが明らかになった。
トヨタ本体は13年度の営業利益が過去最高を更新しV字回復を果たしたが、その恩恵が下請けにはまだ及んでいないことを、今回の調査が示している。ちなみにトヨタは海外生産を増やし、13年度の国内生産は07年度の8割にとどまる。海外シフトが下請けの売り上げに影響し、大手と中小の格差が広がったとみられている。
●過去最高益でも株価下落
トヨタ自動車の14年4~6月期連結決算(米国会計基準)の営業利益は4%増の6927億円と、リーマン・ショック前の07年以来7年ぶりに最高益を更新した。400億円のコスト低減効果が寄与した。
しかし、好業績を発表したにもかかわらず、トヨタの株価は下落した。市場で懸念材料として指摘されたのは、トヨタ系列の自動車部品大手が減益決算だったことだ。コスト削減のシワ寄せを上場する部品メーカーが受けているのだとすれば、トヨタ本体の収益力が本当に回復しているのかどうかに疑問符がつくためだ。
トヨタ生産方式の核をなす「カイゼン」と呼ばれるコスト低減には3つの手法がある。1つ目は1次サプライヤー(部品会社)に対して年率約1%ずつ製造原価の引き下げを要請して、年間で計1000億円の原価を低減する。2つ目は車体の軽量化で材料費を抑え、1000億円コストダウンする。3つ目は生産性向上や設計変更などで、原価を1000億円低減する。この手法で、年間3000億円の原価低減を継続してきた。