しかも、従来ソフトバンクの強力な武器となっていた「iPhone」をライバルキャリアも扱うようになったことで、他社との差別化が難しくなりつつある。「iPhone 6/6 Plus」の初動販売では好調を維持しているものの、購入者の多くが同社の機種変更ユーザーと見られ、番号ポータビリティ(MNP)による他社からの流入はさほど増えていないようだ。
加えて、春商戦におけるキャリア同士の激しいキャッシュバック合戦が多くの批判を集め、自粛傾向が強まっていることから、ユーザーが積極的にMNPをする理由に乏しい状況だ。それゆえ大手キャリアは互いに他社からユーザーを奪うことが難しくなり、競争が停滞してきている。国内では後発キャリアであり、他社からユーザーを奪うことで拡大を続けてきたソフトバンクにとって、MNPで顧客を獲得できなければ端末販売台も停滞することになり、減収に至る可能性が高い。
そうした中、ソフトバンクは「iPhone」に大きく依存した端末戦略を改め、「Android」端末の販売強化を進めて競争力を高めようとしている。ただし、いたずらに端末数を増やすのではなく、あくまで魅力や特徴のある端末を提供することを重視しているようだ。フレームレス構造を実現した「AQUOS CRYSTAL」を、シャープやソフトバンク傘下の米スプリントと共同で開発したのも、そうした同社の狙いを象徴している。
「Xperia」は、国内では「iPhone」に次ぐ人気を獲得しているブランドの端末であり、他キャリアと比べた場合の“穴”を埋める上でも重要との判断に至ったと見ることができる。「Xperia Z3」はドコモやauも取り扱うことを発表しているが、ソフトバンクは端末価格を一括払いで6万9120円とし、月々割を2880円に設定。2年間では実質0円で購入できる計算になる。あくまで参考だが、ドコモが現行機種「Xperia Z2」をドコモオンラインショップで一括購入価格(10月1日時点)8万5320円としていることを考えると、挑戦的な値付けをしているのがわかる。