(「アップルHP」より)
その快進撃の足元では、巨人アップルの“日本支配”が進んでいる。世界の最高水準を誇ってきた日本の電子産業は、アップルの下請けとなった。
先日発売された「iPhone5」の中身は、50%超が日本企業の製品だ。電子機器の分析会社、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズがこんな衝撃的な調査結果をまとめた。iPhone5を解体して、約1000個の電子部品を1つずつ顕微鏡で調べ、製造元を特定した。
部品の点数が最も多かったのは村田製作所。電流をためたり放出したりするコンデンサーなど400個以上使われていた。同社はセラミックコンデンサーで3割以上の世界シェアを持つ。わずか0.2ミリの幅に100層ものセラミック膜を重ね合わせた最先端の製品が採用された。
TDKやロームはアップルの要望に応え、「5」向けに世界最小の電源コイルやトランジスタを新規に開発した。液晶画面はジャパンディスプレイ製、カメラの画像センサーやリチウムイオン充電池は、かつてスティーブ・ジョブズ氏が自ら「アップルのお手本」と言ったソニーの製品。液晶パネルを駆動する半導体はルネサスエレクトロニクス、情報を記憶するメモリーは東芝とエルピーダメモリのものが使われていたという。
ジャパンディスプレイは産業革新機構が70%出資し、ソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイ、日立ディスプレイズの3社の事業を統合した“日の丸小型液晶会社”なのである。ソニー、東芝、日立製作所が10%ずつ出資している。会社名を見ているだけで電子部品業界における、アップルの影響力の大きさをうかがい知ることができる。
わが国の電子部品業界がアップルへの依存度を高めたのは、価格ではなく数量である。アップルとの取引は「世界最低価格での提供」が条件で、他社に販売するより1~2割、場合によってもっと安い。価格面だけを見ればアップル以外に販売した方が利幅は大きい。それでもアップルを優先するのは数量が圧倒的に多いからだ。