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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

サムスン、「傲慢と過信」で内部崩壊の兆候 日本半導体、「過剰品質」で復活のシナリオ

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

 このようなカリスマ的な絶対専制君主が長期不在となった場合、組織のタガが外れ、緊張感が緩み、組織内部から崩壊する可能性もある。これがサムスン電子のアキレス腱になるかもしれない。

 以上の筆者の見解に、投資機関の多くが賛同していた。そして、この懸念は現実となった。14年を通して、サムスン電子の業績急落が止まらなくなったからだ。

 この直接的な原因は半導体ではなく、サムスン電子の営業利益の約7割を稼ぎ出していたスマホの不調にある。世界最大のスマホ市場となった中国で、100ドルスマホなどの低価格スマホが爆発的に普及し、サムスン電子のGALAXYのシェアが激減した。いうなれば、サムスン電子はスマホで「イノベーションのジレンマ」に陥ったのである。この背景要因には、「スマホでも世界一」になったことによる傲慢さと、カリスマ的な絶対専制君主の不在があるとにらんでいる。

●日本、特にルネサスの復活はあるか?

 凋落した日本半導体に復活の道はあるのか? 投資対象から(東芝のNANDフラッシュを除く)日本半導体メーカーを切り捨ててしまってもよいのか? という投資機関の関心事に、筆者は「一つだけ日本(特にルネサス)が再生する道がある」と説明した。

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 コンピュータ産業は、46年のENIACの登場以来、ひたすら「軽薄短小(ダウンサイジング)」の歴史を歩んできた(図4)。当初、基幹部品として真空管が使われていたが、現在は、半導体(LSI)が取って代わっている。そして07年のiPhone発売以降、スマホシフトが進んでいる。では、スマホの次は何か?

 時計型やメガネ型などのウエアラブル端末の時代が来るというアナリストが多いが、筆者はそれらはスマホやPCの補助的な端末の域を出ないのではないかと考えている。小さすぎる端末は使いづらく、スマホからさらにダウンサイジングすることにさほど意味はないのではないか。実際のところ、時計に電話やメール機能がついていても、便利とは思えない。

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