創業者・松田聖子と、事業領域拡大させる娘・沙也加 巧妙な事業承継&成長戦略
1月1日付マイナビニュース記事によれば、「歌手の松田聖子が、31日に生放送された『第65回NHK紅白歌合戦』で、生中継で出演した娘の神田沙也加の姿に涙し、その親子愛に感動の声が寄せられている」という。アナ役の吹き替え声優を務めた神田さんは、企画コーナー「みんなで歌おう! アナと雪の女王」で米ニューヨークの特設会場から中継で出演し、挿入歌『生まれてはじめて』を披露した。松田さんは娘を映す映像を見つめ、感極まって涙。その姿にツイッター上で「聖子ちゃんも母なのだなぁ…」「娘の映像に感激してる松田聖子に心打たれた」「神田沙也加さんを見守る松田聖子さんのお母さんっぷりに感動した」「親子の愛情に感動」「さーやの成長に泣いてる松田聖子がじーんってくるわ………もらい泣きしちゃうわ…」などと感動の声が上がっているという(同記事より)。
筆者も昨年大みそか、冬の気圧配置が強まり雪が降り続ける地方の温泉宿でこたつに入りながら、『紅白』を見ていた。そして、「ああ聖子さんも、お母さんなんだなぁ」と思いながら感動したのを覚えている。松田さんのような大歌手でも、子どもの成長は嬉しいだろうし、『紅白』での出来は神田さんのほうが上だったように感じる。自分よりも「仕事」の成果を出す子どもを眺める、子どもが自分を超えていく、これはどの親にとっても嬉しいことなのだろう。
●事業承継と第2創業
近年、多くの企業で「事業承継」が問題になっているが、神田さんは事業ドメインをシフトさせることで、うまく成功を収めたといえる。松田さんを創業者だと考えれば、創業者の事業ドメインはアイドル事業。神田さんは事業ドメインをミュージカル、舞台、声優事業へと幅を広げている。ある意味、創業者のつくり上げた事業ドメインをテコに第2創業を行っているようなものだが、実はこうした事例は少なくない。
例えば、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)社長の豊田喜一郎などは、その例の一つである。父の豊田佐吉はトヨタグループの創業者であり、豊田紡織、豊田自動織機製作所などを創業した。ただ、会社名の通り佐吉の創業した事業ドメインは、織機・紡績領域である。佐吉の生きた明治・大正期は、重化学工業が日本の工業の中心ではなく、軽工業が中心であった。そこで、生産性を向上させる自動織機の発明は、市場のニーズをとらえたものであった。