地銀人材バンクは配偶者の転勤に伴って退職する女性行員が希望すれば、地銀同士で紹介し合う仕組み。子育て中の女性行員の活用を想定しており、一度退職して別の地銀に再就職するかたちになる。人事評価など個人情報をどこまで伝えるかなどの実施要項を決め、今年3月までに仕組みの大枠を固める。早ければ15年度中に第1号のマッチングが成立する見通しだ。
地銀は本店が立地する都道府県内で展開する店舗がほとんどであり、配偶者の転勤で外に出れば、これまでは退職するか夫と離れて単身赴任するしかなかった。地銀人材バンクを活用することで、女性の就労機会が広がることになる。働いていた地銀に復職制度があれば、もとの場所に戻った後に復帰することもできる。
佐久間氏は、「女性の活躍推進は、経営にとって不可欠だ」と述べ、子育て世代の女性が働きやすい環境を整えるとの考えを示した。千葉銀行は1986年に銀行界で初めて女性を支店長に登用した。05年に「女性いきいきキャリアアップ宣言」を行い女性を登用するとともに、その活躍を支援する取り組みを始めている。07年に地方銀行界で初めて設立した特例子会社ちばぎんハートフルは多くの障害者を雇用し、ダイバーシティが重要視される中、同行は先駆的かつ継続的な取り組みをしてきた。
●千葉銀行の先駆的取り組み
安倍政権の発足とともに、佐久間氏は地銀界のリーダーとして存在感を増してきた。
14年3月28日、首相官邸で開催された「輝く女性応援会議」を契機に、輝く女性・輝こうとする女性たちを応援する各界のリーダーたちによるムーブメントが広がり、6月27日には「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(事務局は内閣府男女共同参画局)が「行動宣言」を策定・公表。佐久間氏は「行動宣言」策定メンバーとして参加した。
それを受け同年7月に千葉銀行は、行内に女性行員の活躍を推進するための「ダイバーシティ(多様性)推進委員会」を設置。政府が成長戦略で「20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%」とすることになったのを踏まえて、同行は数値目標を設定した。8月20日には女性の管理職登用に関する計画を発表。20年度までに支店長や副支店長など管理職の女性比率を現在の6.1%から20%に引き上げる。さらに、支店長代理、副調査役など「リーダー職」の女性比率を現在の21.2%から30%とする目標を掲げた。
10月1日付で「ダイバーシティ推進部」と「お客様サービス部」の2部署を新設し、同行初となる女性部長が誕生した。ダイバーシティ推進部長に就任した斎藤千草さんは88年入行で元人材育成部副部長。お客様サービス部長に就任した岡田裕子さんは85年入行で元営業企画部副部長。49歳で部長に昇進するのは同行でも珍しい。
佐久間氏は同行の取り組みを地銀全体に広げるため各地銀に行動宣言への賛同を呼びかけ、これを契機に「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」が発足し、自ら会長に就任した。