両社はお互いに自己株式220億円分(DeNAは約1508万株、任天堂は約176万株)を相手に割り当て、任天堂はDeNA株式を10.0%保有する第2位の大株主になる。一方、DeNAは任天堂株式を1.24%保有する。両社は今後、グローバル市場を対象にスマートフォン(スマホ)向けゲームを共同で開発する予定だ。
DeNAとの資本提携に向け、外国人投資家が任天堂の背中を押した。任天堂は今年1月、2015年3月期決算の連結営業損益予想を200億円の黒字に下方修正した。従来予想(400億円の黒字)の半分にとどまる。欧米で携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売が苦戦し、日本も振るわなかった。ハードウェアの売れ行き低迷でソフト販売も伸び悩んだ。外国人投資家を中心にスマホゲームへの参入を望む声が強かったが、岩田聡社長は「スマホゲームはコンテンツのデフレ(価値の下落)が激しい」と否定的な立場を取り続けてきた。
任天堂は「スーパーマリオ」など世界的に人気のキャラクターを持つが、あくまで自社の家庭用据置型ゲーム機専用のゲームソフトだ。スマホゲームの普及で据置型ゲーム機は苦戦しており、自社製ハードウェアにこだわってはいられなくなった。
スーパーマリオのスマホゲームへの投入で業績の回復を狙うが、据置型ゲーム機「Wii U」など任天堂の主力事業と共食いを起こすリスクも高い。それにもかかわらずビジネスモデルを転換したのは、スマホゲームにも進出しなければ生き残れないと判断したためだとみられている。
●成長に陰り
『ファミ通ゲーム白書2014』(KADOKAWA/エンターブレイン)によると、今や世界のゲーム市場の7割をデジタル配信が占めるまでになった。スマホやタブレット端末の普及に伴い、モバイルアプリゲームが急拡大しているためだ。
ガンホー・オンライン・エンターテイメントのスマホ向け人気ゲーム「パズル&ドラゴンズ」の勢いは、ゲームアプリにとどまらない。ニンテンドー3DS向けの「パスドラZ」がミリオンヒットを記録し、プラットフォームの枠を超えて成功を収めた。これに対して、これまで急成長してきたグリーやDeNAといったソーシャルゲームのプラットフォーム事業者は成長に陰りが出ていた。