2014年12月18日に東証1部へ上場したgumiは、上場からわずか2カ月半後に15年4月期業績見通しの営業損益を13億円の黒字から4億円の赤字へ大幅に下方修正した。これを受け同社株式の売り注文が殺到し、3月6日、9日に2日連続してストップ安(500円安、2日で合計1000円安)となり、その後も株価は下落傾向となっている。
gumiは同期決算が上場初年度の決算になる。当初予想は連結売上高309億7200万円、経常利益12億7700万円だったが、それが今年3月5日になって突如、大幅下方修正し、売上高は265億円、経常損益は6億円の赤字(前期は1億6800万円の赤字)とした。
下方修正発表の翌日、gumiは1月30日に30億円を無担保で借り入れしていたことを公表した。運転資金に充当するためだったとしているが、借り入れから1カ月以上たってその事実を明らかにしたわけだ。これに対し市場関係者からは「運転資金を急遽借り入れたことが1月末に公表されていれば、投資家らは同社株式を売ることで損失を免れた可能性もある。運転資金を借り入れたという事実からは、年明けからの業績悪化を予想していたとも受け止められる」など批判の声が上がっている。
その後も、gumiの韓国子会社で「役員が数十億ウォン(数億円)を横領した可能性がある」と韓国メディアが3月19日に報道。gumiは「役員ではなく、従業員が数千万円を横領した疑いが強まった」と公表し、管理体制の甘さや内部の混乱ぶりが露呈した。これが投資家の嫌気を買い、20日、同社株価は49円安の1290円まで下落し、前日19日につけた上場来安値1282円に接近した。
このほかにも、株価暴落の過程で一部の経営幹部が持ち株を売っていた事実も発覚。3月27日には100人の希望退職者募集が行われることが発表されるなどして、gumiに対する批判と不信が広まっている。
「市場を欺く裏切り行為」
数多くの企業の資金調達を手掛けた経験を持つ経営コンサルタントは語る。
「上場の2~3カ月後に通期業績見通しを黒字から赤字へ大幅下方修正するなど、絶対にやってはいけない行為です。上場審査をした東証、そして市場を欺く裏切り行為であり、上場廃止となってもおかしくないレベルです」
市場関係者も次のようにgumiを批判する。
「一連のgumiの行動は完全にアウトであり、投資家の間には『裏切り者』と呼ぶ声すらあります。信用回復のためには國光宏尚社長の退任は必須条件です。今年は国内で100社前後の上場が見込まれていましたが、gumi問題を契機に証券取引所の上場審査が厳しくなるのは必至であり、同社のせいで上場できなくなる企業も出る可能性があります。その意味でも、同社の犯した罪は重いといえます」
このほかにも、gumiの経営を不安視する声も聞かれる。ゲーム業界関係者が語る。
「これまで右肩上がりで急成長を続け、メディアでもゲーム業界の将来を担う有望株としてもてはやされてきただけに、一転して批判を浴び、さらに赤字決算となり成長に陰りが見え始めたことで、社員のモチベーション低下が著しいとgumi関係者からは漏れ聞こえてきます。さらにこのタイミングで早期希望退職者を募ったことで、社員の不安は増し、他の有力ゲーム開発企業への人材流出も懸念されます。実際に複数の企業がgumi社員の獲得に動いているとの情報もあります。国光社長の求心力低下も深刻で、このままでは危機的状況に陥るとの見方も広まっています」
gumiショックの波紋は、収まりそうにない。
(文=編集部)