つまり、ツルハはローソンのFC加盟店になっているというのだ。したがって「仕入れや店舗オペレーションはローソンが管理し、ツルハはドラッグ販売のノウハウを提供するかたちになる。マツキヨの時のような、どんな商品を仕入れるか、品揃えの配分をどうするかなどの調整は不要」(ローソン関係者)という。
ある意味で屈辱的ともいえるFC契約をのんでまで、ツルハがローソンとの提携を決断したのは、成長が曲がり角に来たドラッグストア業界の厳しい市場環境の表れといわれている。「ツルハは、ローソンから小型店の運営ノウハウと弁当、総菜などファストフードの仕入れ・販売のノウハウを獲得するのが狙いだった」と流通業界関係者は語る。
ツルハはドラッグストア大手の名を捨て、コンビニ経営の実を取ったわけだが、同社がそこまで焦った裏には、ドラッグストア業界内のコンビニ市場進出加速の動きがあるようだ。
コンビニ市場に殴り込んだドラッグストア
ドラッグストア業界2位のサンドラッグが、同業界初のコンビニ型ドラッグストア「サンドラッグCVS」を開発してコンビニ市場へ進出したのは13年7月のことだ。東京・小岩のJR総武線小岩駅北口に「小岩北口店」を開業したのを皮切りに、今年2月末までに都内で4店のサンドラッグCVSを出店している。
同社はコンビニ型ドラッグストアに関する情報公開をしていないので詳しいことはわからないが、営業時間は午前7時半から午後10時半(店によって違いあり)と、コンビニの24時間営業には及ばないが、通常のドラッグストアよりは長めだ。大衆薬のほか、生鮮食品、新聞・雑誌類、日用品、弁当・惣菜と、コンビニ並みの品揃えをしている。
近隣には他社チェーンのドラッグストアに加え、セブン-イレブン、ローソンストア100、ファミリーマートなどのコンビニチェーン、さらに総合スーパーのイトーヨーカドーや24時間営業の食品スーパーなどがひしめいている。近年、人口が急増している地区とはいえ、競争は激しい。
流通業界関係者は「業界内の出店競争が激しい都内で、これ以上ドラッグストアを新規出店するのは無理と考えたことが、サンドラッグのコンビニ市場進出の動機だ。ドラッグストアよりも狭い商圏で利益を確保するためには、コンビニ業態は欠かせない。その点、扱い慣れたドラッグストアはキラーコンテンツとしてコンビニ市場で『本家』との差別化ポイントになる」と指摘する。