ローソンは従来からコンビニの利便性に健康を加味した「マチの健康ステーション」の業態開発に率先して取り組んできたことは、よく知られている。2014年11月末現在、健康志向の商品を中心に品揃えする女性向けの「ナチュラルローソン」112店をはじめ、病院内などに出店している「ホスピタルローソン」、調剤薬局併設型の「ファーマシーローソン」、大衆医薬品を販売する「ヘルスケアローソン」などを展開している。
そして今回、ローソンはツルハとの提携1号店を皮切りに、今後3年間でコンビニ・ドラッグストア融合店を100店出店するとしている。
一見華やかな話題だったが、関係者への取材を進めてゆくと、その背後でコンビニ業界とドラッグストア業界のつば競り合いが起こっていることがわかった。
大手の矜持を捨て、ローソン加盟店になったツルハの焦りとは
ローソンがドラッグストア大手と提携するのは、実は2度目だ。最初はドラッグストア業界首位のマツモトキヨシ(以下、マツキヨ)だった。マツキヨとの提携でコンビニ・ドラッグストア融合1号店を出店したのは09年のことだ。当初は共同で運営会社を設立し、この時も融合店を3年で100店出店すると記者会見で説明していた。しかし、共同運営会社は設立されず、昨年末時点での店舗はたった2店。事実上の提携失敗だった。
提携が頓挫したのは、両者の思惑違いが原因と指摘されている。その舞台裏を、流通業界関係者は次のように明かす。
「取り扱い商品の類似性が高いため、組みやすいと提携したのだが、安さが勝負のドラッグストアと、定価販売が基本のコンビニとでは品揃えの基準が違う。それで、いざ実行段階になると品揃えの選定や配分で両社の調整がつかなかった。例えば、清涼飲料はドラッグストアでもコンビニでも取り扱っているが、価格をどちらに合わせるかといった点でもめた」
しかし、今回の提携は「前回の轍を踏まない」とローソン関係者は自信を示す。それは、ツルハとはフランチャイズ(FC)契約をしているからだ。