サンドラッグがコンビニ市場に進出した理由は、ほかにもあるようだ。前出の流通業界関係者は、このように語る。
「ディスカウントストア並みの価格の加工食品や日用品で客を集め、平均4割前後の粗利がある大衆医薬品で稼ぐのがドラッグストアのビジネスモデル。ドラッグストア業界の出店余地が狭まった昨今、出店を拡大しようとすれば、より狭い商圏で営業ができるコンビニ市場を侵食するしかない。そのためには、コンビニ業態にドラッグストアのビジネスモデルを落とし込む必要がある。だからコンビニ型ドラッグストア出店は必然といえる。大手ドラッグストアは、いずれもコンビニ市場進出の機会をうかがっている」
あとは、新規出店する際の業態が、ツルハのようにどこかと提携するか、サンドラッグのように独自かの違いだけとなりそうだ。
他業界に侵食されるドラッグストア市場
ところで、ドラッグストアとは、そもそもどういう小売り業態なのだろうか。日本チェーンドラッグストア協会は、「医薬品と化粧品、そして日用家庭用品、文房具、フィルム、食品等の日用雑貨を取り扱う小売店」と定義している。多様な日常生活用品を品揃えする業態は米国で生まれたといわれている。広い国土ではワンストップで日常生活用品を買い求めるニーズが高かったからだ。
日本ではコンビニが小売りの主流業態になっているが、米国ではドラッグストアが主流。70年代に米国のドラッグチェーンストア理論が導入され、日本でもドラッグストア市場が形成された。
その市場は01年に3兆円を突破、14年に6兆円を超えた。店舗数も14年に約1万8000店に達した。米国ドラッグストア業界首位のウォルグリーンは、1社だけで全米に約8500店を展開、売上高は7兆円を超える。人口、交通など国勢が違うとはいえ、やはり米国のそれとは似て非なるものがあるようだ。
日本のドラッグストア業界は大きく成長を続けてきた半面、他業界との厳しい競争にもさらされている。09年の薬事法改正で医薬品販売の規制が緩和され、風邪薬、胃腸薬など大衆薬の販売が「登録販売者配置」の条件付きでコンビニやスーパーにも許可された。さらに昨年6月からは大衆薬のインターネット通信販売も解禁された。大衆薬市場は、もはやドラッグストアと薬局の独占市場ではなく、コンビニ、スーパー、ネット通販などの他業界から侵食される市場になっている。