三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が、三菱UFJ投信と国際投信投資顧問を7月をメドに合併させることを決めたのに続き、みずほFGはみずほ信託銀行の運用部門とみずほ投信投資顧問、新光投信の資産運用会社2社を統合した上で、みずほと第一生命保険が折半出資するDIAMアセットマネジメントを合流させる案を練っている。いずれも投信法の改正によりファンド間の統合が容易になったことを踏まえ、合併により間接部門の合理化効果とスケールメリットの双方が追求できると判断した。
また、NISA(少額投資非課税制度)の拡充が見込まれる中、投信の銀行窓販で地銀向けの販路を拡大する布石となる。さらに、来年度早々に公的資金を完済するりそなホールディングスもグループ傘下に資産運用会社を設立する方針で、銀行店頭で販売する投資信託の組成に参入する意向だ。メガバンク間で、アセットマネジメント業務をめぐるつばぜり合いが激化することは避けられない雲行きだ。
みずほFGは、かねてより佐藤康博社長が「銀行、信託、証券に次ぐ第4の柱として、アジアを代表する運用機関を育てる」と明言していたが、「運用会社はそれぞれ運用哲学が異なり、単純に合併すればいいというものではない」(みずほFG関係者)との慎重意見も根強かった。また、みずほFGには、旧日本興業銀行系の新光投信、興銀と第一生命の合弁のDIAMアセットマネジメント、旧富士銀行系と第一勧業銀行系を母体とするみずほ投信投資顧問の3社が並立し、旧行の思惑が錯綜し、動きづらい面は否めなかった。
●火を付けた三菱UFJ
そこに持ち上がったのが、三菱UFJ系の運用2社の合併構想だ。同構想が明るみになった昨年末には、みずほFGと三井住友FGの関係者は情報の収集に追われた。
特にみずほFGにとってアセットマネジメント会社糾合の鍵は、巨額な年金資産を受託する信託銀行と投信投資顧問会社の関係をどう位置付けるのかにかかっていた。信託銀行と投信投資顧問会社は、年金信託の受託では競合する関係にある。多様な運用ニーズを持つ委託者を取り込むには、グループ内に複数の性格の違う運用会社を持っているほうが得策ではないかというのがこれまでの判断だった。しかし、運用の世界では、規模の利益も無視できない。受託資産が多ければ、それだけ運用効率が上がるためだ。ブラックロックやバンガード・グループなど、海外の巨大な運用会社との競争力を高める狙いもある。
そこで浮上したのが、「一挙に、みずほ信託銀行にグループ運用会社を糾合してはどうかという案だった」(金融庁関係者)という。メガバンクグループ内で信託銀行を核とする巨大な運用会社をつくろうというものだ。「みずほ信託銀行が自らの資産運用部門を切り出す、身を切る決断が、グループアセットマネジメント会社3社の糾合に筋道をつけた」(みずほFG関係者)といっていい。