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井上隆一郎「アジア自動車産業 競争的分業体制への歴史的転換」

アジア自動車産業 競争的分業体制への歴史的転換(前編) 産業体制の前提条件が大きく変化

文=井上隆一郎/東京都市大学都市生活学部教授
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 これとは反対に、実はこれまでインドネシアの販売の伸びがきわめて大きく、自動車生産、販売のランキングにおいても、タイの後をじわじわと追っている。13年には生産も販売も120万台に達しており、14年時点ではこれを逆転するに及んでいる。2億人を超える人口規模、そしてこの間の経済発展を背景に、自動車市場の拡大が継続している。

 さらにインドネシア政府は、タイのエコカー政策に類似したLow Cost Green Cars(LCGC)政策による免税措置により、低価格車の普及を図っており、自動車メーカー各社は当該規格の乗用車開発を競うだけでなく、生産設備の投資を急いでいるため、早晩、自動車生産200万台の体制が出来上がることが予想される(ちなみに、14年に成立したジョコ・ウィ新大統領政権は必ずしもLCGC政策に積極的ではないともいわれている)。また、多くの自動車産業関係者は20年に自動車市場は200万台を超え、生産能力も250万台を超えることを予想している。つまり、ASEAN域内に、タイと並んで100万台以上の市場、200万台を超える生産体制の国が生まれることを多くの関係者が当然視しているのである。
(文=井上隆一郎/東京都市大学都市生活学部教授)

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【参考文献】
マークラインズ「公開自動車統計資料」各年版
GAIKINDO「自動車統計」各年版
JETRO「製造業月額賃金比較」

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