財務省が9日発表した2023年度上半期(4~9月)の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支は12兆7064億円の黒字だった。貿易赤字の大幅な縮小に加え、投資収益の拡大が全体を押し上げた。黒字幅は前年同期比約3倍で、比較可能な1985年度以降で過去最大となった。
貿易収支は1兆4052億円の赤字で、前年同期の9兆1814億円の赤字から赤字幅が縮小した。原油など資源の価格高騰が一服し、輸入額が減少したことが主因だ。
企業が海外から受け取る配当金や利子の収支を示す第1次所得収支は18兆3768億円の黒字と過去最大だった。海外の金利上昇で債券利子などの証券投資収益が増加した。
輸送や旅行などの取引の収支を示すサービス収支は2兆3347億円の赤字。赤字幅は9537億円縮小した。旅行収支の黒字急拡大が要因で、黒字額は約15倍の1兆6497億円に膨らんだ。新型コロナウイルスの水際対策緩和によりインバウンド(訪日客)が回復した。
同時に発表した9月の経常収支は2兆7236億円の黒字で、黒字幅は9月として過去2番目の大きさだった。半導体不足の緩和に伴い自動車輸出が好調だったことなどから、貿易収支は3412億円の黒字と2カ月ぶりに赤字から転換した。
◇23年度上半期の国際収支
23年度上半期 前年同期比%
経常収支 127,064 約3倍
貿易・サービス収支 ▲37,400 ―
貿易収支 ▲14,052 ―
輸 出 496,214 0.05
輸 入 510,266 ▲13.2
サービス収支 ▲23,347 ―
第1次所得収支 183,768 3.9
第2次所得収支 ▲19,304 ―
(注)単位億円。▲は赤字または減少。―は比較できず(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2023/11/09-11:48)